福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

地蔵菩薩三国霊験記 12/14巻の2/6

2024-10-20 | 先祖供養

地蔵菩薩三国霊験記 12/14巻の2/6

二、家内の病悉除の靈験

中古平の京西七條に源蔵師親と申す有徳の仁侍りき。七珍求るに皆家内にそなはり万宝尋れば悉く庫の内に篭たり。されば数万の商人は重宝を売りて門を出で、百千の家属は利物を荷って内に入り何の乏しきことなくありけれども涌出の宝を一つも所持せざりければ長者の名は許されざりき。内々清水寺観音と地蔵菩薩とを深く信じたてまつりければ此の佛の利生にてこそ此の如き福裕にはありけるらんと思ひてつとめてをこたり更になかりし。」されば七難(観音経では火難・水難・羅刹(悪霊)難・刀杖(武器)難・悪鬼(死霊)難・枷鎖(拘束)難・怨賊難。薬師経では人衆疾疫難・他国侵逼難・自界反逆難・星宿変怪(星の運行異変)難・日月薄蝕(日蝕月蝕)難・非時風雨難・過時不雨難。仁王経では日月失度難・星宿失度難・災火難・雨水難・悪風難・亢陽(日照り)難・悪賊難)は門を去り万福は内に入り充ちよろず心に任せけるに其の比、天下の時疫の災起て人々一般にぞ病ける。彼の師親の家中、わけて病患に犯されて眷属親族心神悩乱して苦しむ。名医手を拱き呪術更に験なし。誠に自業自得の悪病の業感定理の習とはきけども、財を散らし人に施し神藥をもて他に与ふ、此の功徳によりて病神などか退き玉はざらんや。衆生無慚の科を戒め玉ふ使ならば鬼神などかこれほどになさけなくはましますらんとはるかに恨み奉りて夜深更に及んで地蔵井の御前に参りて申けるは、師親が運命は清水の観音に任せ奉る。念彼観音力の誓のほど捨玉ひてんや。源蔵十八の年より地蔵を信じ奉り念力肝に銘じ信仰骨に徹す。他生の行功を黙止(もだし)数日の累徳を失玉ひて、此の如の家中病悩して身命を野外に曝す。牛馬死して山林に捨ることかぎりをしらず。本願の如く奈落に入りても罪に代わり其の人を助んとならば、など納受し玉はざらん。凢そ衆生は罪業深くして煩悩にくらまされて罪を造りながら罪なしと云ひ、科ありながら無しとをもへり。今師親が當る所の罪、何ぞや、其の本を明らかに示し玉へと理をつくし誠を致して祈求しけり。暁すこし眠る夢に皃儀(ぎょうぎ・容儀)端正の僧の香の衣を着て杖をつき師親に向ての玉はく、汝理に迷ふて自ら恨むるなり。あら苦しやとて御涙をながし衣の袖をしぼり玉ひて人をもって人につげて人、其の心にたらず、身をもてつむに身其のいたみをしらずと云ことなし。汝が家内男女病悩にをかされて死亡すること佛力のをよばざるにはあらず。鬼神の無道を以てなやますにもあらず。又汝守護の仏神汝を捨玉ふにもあらず。唯汝が郎従の不忠なるにこたへて自業の招く果なり。汝が修するところの法力成就するときには、汝がために不当のやから病悩せり。祭礼感応するは汝に不忠のともがら死亡するなり。汝は眷属をあはれめども其の郎従それをかへりにみず。徳を蒙りながら汝が貨財を犯す、或は盗み或は破り或は主を毀り徳をかすめ、恩をそむきなんどは是皆汝が為には凶徒悪属なり。天神も此の人を悪(にく)み玉ひ、地神もいましめ玉ふ。我が平等の心を以て助けんとすれども、賞罰善神等は大に怒りを成しいよいよこれを戒め、或時は罰神と現じ悪風猛火となりて中夭をあたへてこれを罰す。又疫神、天刑神(陰陽道で天からの懲罰を与える善神)と現じて毒気をあたへて命を害す。諸郎従等の曲惑無道を宗としぬ故に鬼神これを罰せんとするが故に、汝が修善のかげにかくれて鬼神の眼に見へず。冥官いかりをなして其の壽筭を召し返すに汝が守護神牛馬の命につのりこれに易るとなり。凢そ一切の佛は衆生のために慈悲を垂れ玉へども衆生は業にひかれてややもすれば悪道に入り悪鬼の呵責を受ること天も何んともすべきことなしとの玉ひて夢さめぬ。其の後は佛神を恨み奉ることなしと思ひしりてより後には万の目を付け見るに物により事にしたがひてあやまらざるものはなかりき。元より妻子も心不順にして即従も利欲を肆(ひしひまま)にす。されば我をば守り玉ふ善神いかでか罰し玉はざらんや、と思ひけるほどに日来はうらめしく怖ろしく思ひ奉る疫神を今更に尊くなつかしく、感涙袂をしぼりつつ恭敬をとしければ家中に充満したる鬼神も彼の師親が慈仁の心をあはれみて速やかに門の中を出去りける。さるから家中の病忽ちに止て皆安穏の躰にぞ見へけり。これしかしながら地蔵菩薩の利益方便の故なり。然れば禍の轉じて福となすの術ひとへに地蔵信力のみにあり。頼むべきかな。

引証。

地蔵經に云、若し自心正にして是非を枉げず賞罰を捨てず是経を持つ者が此菩薩を念ぜば、我等眷属は是人を 擁護し日夜不離云々(仏説延命地蔵菩薩経「爾時、梵王帝釈四大天王、諸天華を雨らして如来を供養し、仏に白言「 世尊よ、 未来の衆生 若し自心正にして是非を枉げず賞罰を捨てず是経を持つ者が此菩薩を念ぜば、我等眷属は是人を 擁護し日夜不離、其國土百由旬内無諸災難ならしむべし」」。

 

 

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