たとえば此許に大君有て。萬國を掌握の中に置く。其中に数百の郡國を分ち。有功の臣を封じ。或は子弟を報ず。其分界定た上は。所出の財利多少等からず。彼には余り此には足ぬも。彼を奪て此に與へぬじゃ。此を減じて彼と等くせぬじゃ。それぞれに分限有て。みだりに與奪せざれども。率土みな我掌握たることを妨げぬじゃ。佛性縁起の不偸盗となるも如是じゃ。
同一法性。福徳荘厳は平等なれども。縁に随て此あり彼ある。彼此相分るれば。物々斉からぬ。國に大小有り。家に貧富有り。人に窮達あり。其善根の厚薄。護戒の緩急に由て。業相所現の影如是じゃ。富る家は施して尽ぬ。貧き家は乞貸して足らず。窮するときは親戚も棄去る。達するときは楚越も兄弟の如くになる。
且く肉眼の所見。業相の影像。此差別あるに似て現ずれども。同一法性。福徳荘厳は。元来平等なるものじゃ。なぜに施して尽きぬぞ。山海の利の愈出て愈尽ぬ如くじゃ。なぜに乞貸して足らぬぞ。火に薪を加ふる如くじゃ。なぜに親戚も棄去ぞ。痩土の草木を生ぜぬ如くじゃ。なぜに楚越も兄弟の如くなるぞ。芳花の蝶蜂を招く如くじゃ。
此中法牲に安住するものは。愈出て愈尽ぬことを知る故に。道あって他に施す時は。蔵を傾けて厭はぬ。法性荘厳元来缺めがなきじゃ。
火に蒔を加ふる如くなることを知故。自ら事に安じ心に足て妄に乞貸せぬ。法性荘厳元来缺めがなきじゃ。痩土の草木を生ぜぬ如くことを知故。眷属圍繞して傲らぬじゃ。法性荘厳元来缺めがなきじゃ。三界の大君父と成て。常恒に此法性に安住する。彼を減じて此に増さぬ。此を奪て彼に與へぬ。
法かくの如くなるに由て。一針一草をぬすみ用ふるは。金銀穀米の盗じゃ。一郡一國を侵し奪は。一郡一國の盗じゃ。傭夫の一日のやとひ。直を受て其事に怠るは。一日の盗じゃ。子たる者は。身體髪膚よりして。其家の禄位まで。悉く父母の賜なるに由て。若孝ならぬは一身の盗じゃ。臣たる者は。大にもあれ。小にも有れ。其威勢官爵。朋友の交り。妻子眷属のはごくみまで。悉く君の賜なるによって。若忠ならぬは一家の盗じゃ。
同一法性。福徳荘厳は平等なれども。縁に随て此あり彼ある。彼此相分るれば。物々斉からぬ。國に大小有り。家に貧富有り。人に窮達あり。其善根の厚薄。護戒の緩急に由て。業相所現の影如是じゃ。富る家は施して尽ぬ。貧き家は乞貸して足らず。窮するときは親戚も棄去る。達するときは楚越も兄弟の如くになる。
且く肉眼の所見。業相の影像。此差別あるに似て現ずれども。同一法性。福徳荘厳は。元来平等なるものじゃ。なぜに施して尽きぬぞ。山海の利の愈出て愈尽ぬ如くじゃ。なぜに乞貸して足らぬぞ。火に薪を加ふる如くじゃ。なぜに親戚も棄去ぞ。痩土の草木を生ぜぬ如くじゃ。なぜに楚越も兄弟の如くなるぞ。芳花の蝶蜂を招く如くじゃ。
此中法牲に安住するものは。愈出て愈尽ぬことを知る故に。道あって他に施す時は。蔵を傾けて厭はぬ。法性荘厳元来缺めがなきじゃ。
火に蒔を加ふる如くなることを知故。自ら事に安じ心に足て妄に乞貸せぬ。法性荘厳元来缺めがなきじゃ。痩土の草木を生ぜぬ如くことを知故。眷属圍繞して傲らぬじゃ。法性荘厳元来缺めがなきじゃ。三界の大君父と成て。常恒に此法性に安住する。彼を減じて此に増さぬ。此を奪て彼に與へぬ。
法かくの如くなるに由て。一針一草をぬすみ用ふるは。金銀穀米の盗じゃ。一郡一國を侵し奪は。一郡一國の盗じゃ。傭夫の一日のやとひ。直を受て其事に怠るは。一日の盗じゃ。子たる者は。身體髪膚よりして。其家の禄位まで。悉く父母の賜なるに由て。若孝ならぬは一身の盗じゃ。臣たる者は。大にもあれ。小にも有れ。其威勢官爵。朋友の交り。妻子眷属のはごくみまで。悉く君の賜なるによって。若忠ならぬは一家の盗じゃ。