爰に一つ疑があるべきことじゃ。若菩薩が出家隱士なる時。如上の徳成就すべし。若世間に在て國の政を執に其盗賊徘徊し、惡人徒黨を結ぶ。此等の事もなしと云べからずじゃ。其時若殺せば佛戒を軽んずるに似る。若宥(なだ)むれば政道立せず。人民の害となる、此二途何れに従ふべきぞ。此は審諦に思惟すべき場所じゃ。
經の中に、善心を以て惡人を殺すは、惡心を以て蟻子を殺すよりもその罪軽きとある。(大般涅槃經卷第三十一迦葉菩薩品第二十四に、「世尊。一闡提輩以何因緣無有善法。善男子。一闡提輩斷善根故。眾生悉有信等五根。而一闡提輩永斷滅故。以是義故。殺害蟻子猶得殺罪。殺一闡提無有殺罪」。蟻子を殺しても罪になるが善根をもってない一闡提を殺しても罪にならない、とある。)
又、国家に害ある者を殺すは其罪はなきとある。罪のなきのみにあらず。其功徳を成ずとある。瑜伽菩薩地の戒品、正法念誦経等に開のあることじゃ。
經の中に、善心を以て惡人を殺すは、惡心を以て蟻子を殺すよりもその罪軽きとある。(大般涅槃經卷第三十一迦葉菩薩品第二十四に、「世尊。一闡提輩以何因緣無有善法。善男子。一闡提輩斷善根故。眾生悉有信等五根。而一闡提輩永斷滅故。以是義故。殺害蟻子猶得殺罪。殺一闡提無有殺罪」。蟻子を殺しても罪になるが善根をもってない一闡提を殺しても罪にならない、とある。)
又、国家に害ある者を殺すは其罪はなきとある。罪のなきのみにあらず。其功徳を成ずとある。瑜伽菩薩地の戒品、正法念誦経等に開のあることじゃ。