「十善法語」その7４

小乗法においては、少分法利を得る。生天涅槃の正路を開く。不殺生戒の中に我が慈念増長する。不偸盗戒の中に我が福徳増長する。不邪婬戒の中に我が行、清浄なる。不妄語戒の中に我が徳真実なる。不綺語戒の中に我が心寂静なる。不悪口戒の中に我が言音柔順なる。羅漢果の人は言まず笑みを含むとある。不兩舌戒の中に周僧和合する。戒序に聖衆若し和合するは世尊の称誉する所とある。（四部律巻一に「聖衆若和合 世尊所稱譽 以衆和合故 佛法得久住 如乳母慈愛 養護於其子 一切水火難 護使不傷害
禁戒猶慈母 守護於行者 終不墮畜生 餓鬼地獄中」とある）。不貪欲戒の中に少欲の行成ずる。不瞋恚戒の中に四無量心を得る。不邪見戒の中に人無我の理に達して。優に聖域に入るじゃ。大乗法に於いては。大根大機諸の菩薩を利益す。六度萬行。首楞嚴定等を與ふる。不殺生戒の中に分段變易二種の生死を超過する。不偸盗戒の中に報土を荘厳する。不婬戒の中に清浄の身心到處に禪定相続する。不妄語戒の中に廣長舌相三千界を覆ふ。不綺語戒の中に法の快樂を得る。不悪口戒の中に六十四種の梵音を成じて。説法諸機に透る。不兩舌戒の中に四辯具足して。人天信受奉行す。不貪欲戒の中に常に第四禪相応す。不瞋恚戒の中に後得智より大悲を生ずる。不邪見戒の中に能く佛智に入るじゃ