承和二年835十月十八日實恵等が嵯峨上皇の「海上人を哭する」詩に答えて「恩勅の詩篇を謝する表」を奉じた日。(大師年表等)
「門弟實恵等上表し恩勅の詩篇を謝す」
「草上の僧實恵等聞く、徳廣きときは則ち物懐かざるなく、仁廣きときは則ち恩こうむらざるは無し。信なる哉、斯の言、今日七日、伏して御製の手札先師を哭するの詩を奉ず。宸章高臨、下土を照曜す。生死栄龍永く無窮に伝ふ。非幸非幸。伏して惟んみれば太上皇帝陛下、龍見華の年、天風を舞驥の野に脱し、雷聲拉歯(ろうし・ひしぐ) 金符を哥鸞の郊に厭ふ。翛然(ゆふぜん)として高居す。玄もまた楽にあらずや。遂に爾く無為、是釈書に非ずや。無侍の至神に同じく 有絶の玄象に叶ふと雖も、而も虚屋自ら生じ、高堂 鐘を照らす。故に龍顔 吾師の生前に賜ひ、叡藻吾師の死後に降る。凡厥の弟子、天文を捧荷し、荒襟再び王振の佳句を推し 塞情さらに金声の妙辞に迷ふ。夫子すでに適て教海に順ふこと得べからず。嗚呼哀しい哉、夫れ惟んみれば王は惟れ師憑なり。他なし。父耶母耶、弥よ帝徳を仰ぐ。伏して願わくは篋笥に蔵して日月に懸け劫劫世世、緇門の栄と為さむ。今悲喜の至りに勝へず。謹んで表を奉り陳謝して以聞す。弟子實恵等 誠衰誠恐謹言。」
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