「・・衆生を度せんが為の故にとは、三世の諸仏先ず兜率天に居して然して後に閻浮に下りて衆生を度したまふ。高祖大師も其の通軌に任せて彼の天に居し下生を五十六億余の後に契りたまふ。賢を見ては斉しからんことを思ふべし。我等何ぞ仏祖の玄風を慕はざらんや。是に依りて彼の天に生じて閻浮の衆生を度せんと欲ふ。無始以来生々の恩所幾許ぞ。塵滴も譬とするに足らず。我がために悪を造りて多く三途に堕在せり。我に非んは誰か能く救済せん。而れば共に苦海に溺れなば済度の船を寄するに力無し。故に先ず知足の彼岸に到りて還りて何ぞ之を引接せん。・・」 (好夢十因・知道上人)