大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道140

2008-11-05 19:40:35 | E,霧の狐道
 俺は、爺さん二人に挨拶をした。
まず、短髪のごま塩頭でテッペンがハゲた、妙に小太りな左爺に挨拶。

「 よろしく!」

そして、生まれて数日後のヒナ鳥のように白髪がツンツン立って、痩せた鶏がらスープの右爺に挨拶。

「 よろしく!」

看護婦さんが、俺に言った。

「 田中さん、山本さんよ。」

左爺さんは名前が田中で、口の両端を上げ、俺に分かるように大きく頷いた。

“ 愛想、良さそう。”

右爺さんは名前が山本で、ベッドから首だけ上げて、俺の方を無表情に眺めながら鼻をポリポリ掻いていた。

“ ちょっと、不気味・・・。”

 俺は看護婦さんに助けられ、車椅子からベッドに腰掛けた。
看護婦さんが俺の方を向いてニコッと笑って言った。

「 私、この部屋、担当してる井上です。
 よろしくね。」

俺は挨拶を返した。

「 あ、よろしくお願いします。」
「 じゃ、動けないだろうし、荷物を入れておくね。」
「 はい、お願いします。」

 井上さんは、俺の荷物を入り口にあるロッカーに入れた。
そして、次にコンビニ弁当の夕食とお茶をベッドの頭側にある手荷物入れの箱の上にある台に置いて言った。

「 夕食、ここ置いとくからね。」
「 はい、ありがとうございます。」
「 うん、なかなかキチンと喋れるね。」
「 エヘッ・・・・。」

俺は笑顔を返し、井上さんは病室を出て行った。



☆HOMEページに戻る。
  HOMEページ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------