大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道146

2008-11-17 19:22:58 | E,霧の狐道
 山本爺はジワジワと俺のベッドに接近し、ベッドの右横までやって来た。
そして、箸を持った右手を俺の方に突き出した。
箸の先が俺の方に向かって空中を漂っている。

“ ギャッ、ヤバイ!
 あの箸で眼でも刺されたら大変だ!”

俺は、少し身を左に引いた。

“ 来るぞ、来るぞ、来るぞ・・・・。”

山本爺はジリジリとベッドの右から俺の右前に回り込み、弁当を覗き込みながら、かすれた声で言った。

「 くれ・・・。」

俺は、山本爺の視線の先にはトンカツがあると思った。

“ トンカツを全部取られるのはイヤだなァ~。”

でも、トンカツは切ってあったから、箸で摘んで取られても一切れだろうとも思った。

“ ま、一切れだろうから、いいか・・・。”

俺は、挨拶代わりにトンカツを一切れあげることにした。

“ 念のため、‘一切れ!’と取られる前に言っておこう。”

俺は、左手で弁当を山本爺の前に出した。

「 一切れ、・・・。」

俺の声が終わる前に、山本爺の箸は光速で一直線に弁当に進んだ。

「 あっ!」




☆HOMEページに戻る。
  HOMEページ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------