大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道142

2008-11-09 19:35:01 | E,霧の狐道
 俺は田中爺の胸と腹を見て驚いた。

“ わっ、大きな手術跡!”

俺が繁々と田中爺の腹を見ていると、俺の反応に満足した田中爺が言った。

「 ムフフフフ、どうや、スゴイやろ。」

俺はどう答えたらいいのか分からないので、取り敢えずスゴイと言うことにした。

「 ス、スゴイです・・・・。」
「 そうじゃろ、そうじゃろ。
 さあ、さあ、もっとこっちに寄って!」

 俺は座っていたベッドで、心持ち前屈みになり、田中爺の腹を見た。
すると、田中爺は右手でボールペンを掴み、手術の跡を説明し出した。

「 さあ、ぼん、よう聞いときや。
 これが手術の跡なんやでぇ。」
「 フム、フム。」

田中爺の胸から腹に架けて縦に線がある。
俺がそれを見ていると、田中爺は続けて言った。

「 これが、胃を切ったときの傷やがな。
 どや、どや、スゴイやろ。」
「 ふ~~ん・・・・。」

田中爺は、縦線の上をボールペンで上下させた。
そして言った。

「 ホラ、私鉄、私鉄。
 地図見たら、JRと私鉄あるやろ。
 ホラ、長い線に短い線が細かく引いてあるやろ。
 これ、私鉄の地図記号やん。
  そんでな、この縦に長いのが京阪電車やがな。
 京都から大阪に走ってる私鉄電車や。
 この辺りが出町柳で、三条、四条って下がって行くんやがな。」



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