俺は田中爺の胸と腹を見て驚いた。
“ わっ、大きな手術跡!”
俺が繁々と田中爺の腹を見ていると、俺の反応に満足した田中爺が言った。
「 ムフフフフ、どうや、スゴイやろ。」
俺はどう答えたらいいのか分からないので、取り敢えずスゴイと言うことにした。
「 ス、スゴイです・・・・。」
「 そうじゃろ、そうじゃろ。
さあ、さあ、もっとこっちに寄って!」
俺は座っていたベッドで、心持ち前屈みになり、田中爺の腹を見た。
すると、田中爺は右手でボールペンを掴み、手術の跡を説明し出した。
「 さあ、ぼん、よう聞いときや。
これが手術の跡なんやでぇ。」
「 フム、フム。」
田中爺の胸から腹に架けて縦に線がある。
俺がそれを見ていると、田中爺は続けて言った。
「 これが、胃を切ったときの傷やがな。
どや、どや、スゴイやろ。」
「 ふ~~ん・・・・。」
田中爺は、縦線の上をボールペンで上下させた。
そして言った。
「 ホラ、私鉄、私鉄。
地図見たら、JRと私鉄あるやろ。
ホラ、長い線に短い線が細かく引いてあるやろ。
これ、私鉄の地図記号やん。
そんでな、この縦に長いのが京阪電車やがな。
京都から大阪に走ってる私鉄電車や。
この辺りが出町柳で、三条、四条って下がって行くんやがな。」
☆HOMEページに戻る。
HOMEページ