大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道196

2009-03-02 19:47:26 | E,霧の狐道
 俺はベッドに座って左肩を処置され、イデデデデと叫びながら、所謂“天使の羽根”を装着した。
そして、タヌキはニヤニヤしながら言った。

「 後の予定については、ご両親と相談しますから心配しなくていいですよ。
 じゃ、今日は、こんなもんで終了!」

やはり、まだ、ぜ~んぜん手術を諦めていないことが分かる。
まあ、取り敢えずは診察が終わったのでタヌキから脱出だ。
 俺は再び看護婦の井上さんに補助され、車椅子に乗って診察室を出た。
通路を進んでエレベーターに移動する。
まだ、タヌキのニヤニヤした顔が頭に浮かぶ。

“ あいつ、ヤバイなァ・・・。
 あいつ、直ぐに家に電話したらどうしよう・・。
 とにかく、病室に戻ったら家に速攻電話を掛けよう。”

 俺は井上さんと共にエレベーターで4階に上がった。
4階に着いてエレベーターの扉が開き、通路を見るとナースステーションの横にあったベッドが消えていた。

“ もとの個室に戻したか・・・。”

 俺は車椅子を井上さんに押され、ナースステーションを通過し病室に戻った。
そして、井上さんが病室を出て行ったことを見届けると、早速、車椅子で病室を飛び出し家に電話を入れた。
何も知らない両親が、タヌキに騙されて手術を承諾したら大変だ。




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