大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道200

2009-03-11 19:11:37 | E,霧の狐道
   憩いの広場


 昼に痛み止めを飲み、痛みが和らいだ。
まだ、肩と足に痛みはあるが、痛み止めが効いて動きが楽になるのは有り難い。
昼食が終わると、看護婦の井上さんが車椅子で病院内を案内してあげようと言うので、俺はご好意に甘えることにした。
 俺は車椅子に乗り、井上さんに押されて病院内のあちこちをウロついた。
特に俺にとっては、一階の売店の位置が分かったことが収穫だ。
日用品や新聞や本、その他のゴチャゴチャしたものが売ってある。
レジのオバちゃんが、挨拶代わりに飴を一つくれたのも嬉しかった。
 売店を通過した後、病院の中庭に出た。
病院の建物は口の字の形をしており、真ん中に中庭がある。
藤棚やベンチがあって、散歩している人も見受けられる。
柔らかな日差しで、風が少し吹いて気持ちが良い。
木々が植えてあって公園のようだ。
 高い木から葉っぱが、ヒラヒラと落ちて来る。
地面にも、落ち葉はかなり落ちている。
木の下で、初老のおばさんがホウキを持って落ち葉を掃き集めている。
車椅子を押している井上さんが言った。

「 ここは、憩いの広場ね。」
「 憩いの広場・・?」
「 そう、いろいろな人がここに来て休憩して行くわ。」
「 いろいろな人か・・・。」

俺は人が座っていないベンチに眼をやった。
井上さんが言った。

「 患者さんばっかりとは限らないわよ。」
「 あ・・・・。」

俺は患者と医者や看護婦は違うものだと思っていた。

「 みんな、同じなんだ・・・。」
「 そうね、みんな同じね。」



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