家に電話を掛けると母親が出て来た。
「 もしもし、貴志だけど、狸小路から電話はあったか?」
「 えっ、タヌキから電話があるの?」
「 違う、違う、主治医だよ。」
「 うん・・・・?
貴志の主治医は、タヌキ?」
「 違う違う、人間人間!
とにかく、騙されて手術すると言っちゃダメだよ。」
「 貴志、私は、タヌキに騙されるほどモウロクしとらんよ。
で、誰から電話が来るのよ?
人間かタヌキかハッキリしてよ。」
「 人間のタヌキだよ。」
「 人間は人間で、タヌキはタヌキだよ。」
「 だから・・・・・。
もう、誰でもいいから、手術はしないって言えばいいんだよ!」
「 おまえ、手術をしなければならないのかい?」
「 いや、手術はしなくても治るんだよ。」
「 じゃ、どうして手術するって言うのさ?」
「 だから、信楽のタヌキがやりたそうにしてるんだよ。」
「 手術は、信楽でするの?」
「 いや、信楽じゃなくて、この病院だよ。」
「 ああ、良かった。
そんな遠い所まで行けないよ。
そこの病院で手術するの?」
「 違う違う、手術はしないの!」
「 ああ、大変だ。
手術をするのか・・・。
じゃ、父さんにちょっと言ってくる。」
「 待て~っ、こらァ~~~!!」
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