大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道197

2009-03-04 19:09:30 | E,霧の狐道
 家に電話を掛けると母親が出て来た。

「 もしもし、貴志だけど、狸小路から電話はあったか?」
「 えっ、タヌキから電話があるの?」
「 違う、違う、主治医だよ。」
「 うん・・・・?
 貴志の主治医は、タヌキ?」
「 違う違う、人間人間!
 とにかく、騙されて手術すると言っちゃダメだよ。」
「 貴志、私は、タヌキに騙されるほどモウロクしとらんよ。
 で、誰から電話が来るのよ?
 人間かタヌキかハッキリしてよ。」
「 人間のタヌキだよ。」
「 人間は人間で、タヌキはタヌキだよ。」
「 だから・・・・・。
 もう、誰でもいいから、手術はしないって言えばいいんだよ!」
「 おまえ、手術をしなければならないのかい?」
「 いや、手術はしなくても治るんだよ。」
「 じゃ、どうして手術するって言うのさ?」
「 だから、信楽のタヌキがやりたそうにしてるんだよ。」
「 手術は、信楽でするの?」
「 いや、信楽じゃなくて、この病院だよ。」
「 ああ、良かった。
 そんな遠い所まで行けないよ。
 そこの病院で手術するの?」
「 違う違う、手術はしないの!」
「 ああ、大変だ。
 手術をするのか・・・。
 じゃ、父さんにちょっと言ってくる。」
「 待て~っ、こらァ~~~!!」



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