大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 6月3日 塾のトイレ

2014-06-03 19:09:22 | B,日々の恐怖


     日々の恐怖 6月3日 塾のトイレ


 私が小6の頃に通ってた大きい塾には、男子トイレと女子トイレの他に、もうひとつトイレがあった。
そのトイレは教室から一番遠いところ、塾内の一番奥にあり、そのせいか誰も使おうとしなかった。
別に先生用のトイレという訳でも無いらしい。
 塾の先生曰く、

「 幽霊が出るからあのトイレは使うなよー。」

とのことだった。
まぁ確かに、そのトイレは誰も使用してないためか、なんだか薄暗く気味が悪かった。
 3月になり、塾のその年度の最終日だった。
教室で生徒の1人がこう言った。

「 塾今日で終わりだし、授業終わったら、皆であのトイレに行ってみない?」

おもしろそうと思った私達はその提案に乗り、

「 ホントに幽霊出るんじゃねー?」
「 まさかー。」

と、今日で最終日というテンションもあってか、妙に騒がしくしてしまった。
 教室に入ってきた先生が、そんな私達の様子を見て、

「 おい、トイレに行こうって言い出したヤツ誰だ。」

いつもフランクな感じの先生が、初めて私達に怒鳴った。
一斉に静かになる教室。

“ あ、先生に近づくなと言われてるのに、肝試しなんて・・。”

と、少し申し訳ない気持ちでいると、

「 いや違う。
怒ってるんじゃないんだ。
ただ誰が言いだしっぺなのか、ちょっと教えてくれ。」

と、今度はいつもの先生の口調で言った。

「 Aが言ったんじゃない?」
「 俺じゃねーよ、Bが言ったんだろ。」
「 え、俺は誰かが言ったのに乗っただけだけど・・・?」

言いだしっぺが見つからない。
でも確かに、生徒の誰かが提案したはず。
 次第にざわざわしだす教室。
先生は、

「 静かに!」

と、ひとつ溜息をついて、

「 やっぱり、誰が言い出したか分からないんだよな~。
ま、そういう事だから、お前らあのトイレは使うなよ。」

それだけ言って、先生は授業を始めた。











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