大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 8月16日 そいつ

2014-08-16 18:30:17 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 8月16日 そいつ



 バイト先の知り合いが霊感ある人だった。
シフトが同じで、仕事明けにいつも一緒に帰ってたんだけど、いつもあるテナントビルの前を通る度に嫌がってた。
なんでも、そこのビルの前に、数人の霊が佇んでるのが分かるとか。
 俺は霊感ないから分からないけど、聞いたら、幽霊って、別に透明だったり足がなかったりしないらしい。
そこにいる霊は普通の男女数人で、それぞれ別な方向を向いて無言で立ってるとか。
 それで、ある時に一緒に帰ってて、そのビルの前でいきなり立ち止まって上をジッと見上げだした。

「 何?」

って聞くと、そこにいつもいる霊がみんな上を見上げてるらしい。
 何かあるのかなと、しばらく二人で上見てたら、そこの真上の屋上に誰か人影がみえる。
そいつが、

「 おーい!」

と声かけたら、なんか制服着た学生が逃げて行った。

「 あれ多分、自殺するとこだったんだよ!」

ってそいつは言ってて、それってヤだなと俺は思った。

「 ビルの屋上なんて、カギかけて管理してるだろうに、なんで学生が入れるんだろうね?」

って話してたら、

「 下にいるあいつらが呼ぶから。」

って笑って言ってた。
それからしばらくシフトが変わったこともあって、そいつとは一緒に帰ることもなくなった。
 2年ほどして、俺は既にバイトを辞めてて、久しぶりにそのバイト先に遊びに行った。
そしたら、そいつがそのビルの屋上から飛び降り自殺したって聞かされた。
多分、今はあの下にいるのかも。









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