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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 8月14日 七不思議

2014-08-14 18:45:40 | B,日々の恐怖


  日々の恐怖 8月14日 七不思議


 今の学校って七不思議とかってあったりするのだろうか。
俺が小学校の三年くらいまで通ってた学校にも七不思議はあった。
その七不思議も多くの学校で聞くようなありきたりなヤツだったが、一つだけ異色なヤツがあった。
それが、中庭に転がる見えない骨ってヤツ。
 俺が通っていた小学校には中庭があったんだけど、妙に薄暗くてムシムシするところだった。
その中庭には木に囲まれた小さな池があるんだけれど、その池の前に人の目では見えない人骨が転がっていて、それに躓くと消えてしまうだったか、死んでしまうとかって話だった。

 俺には物心つくぐらいから仲良くしてて、小学校も同じになった友達が3人いた。
名前は仮にA、M、Kにしておく。
 それで、仕切り屋っていうか、俺たちのリーダー格だったAが、

「 昼休みに中庭に行こう。」

って言い出した。
何でも、サッカー友達から、中庭の池にはザリガニがいる、って話を聞いたらしく、釣りに行こうという話だった。
 その時には俺も七不思議のことは知っていたんだけれど、そういうのってまだ疎かったっていうか、信じてなかったっていうか。
とにかく二つ返事でついていった、昼休みに一人でいるのも嫌だったし。
 MとKもすぐにOKを出した。
Kなんか、

「 じゃあ餌に給食残しておかなくちゃな!」

とか言っちゃって、すごい張り切っていた。
 そして、昼休み。
Kは自ら率先して餌持ち、Mが図工室から竹串貰ってきて中庭に向かった。
 中庭は、確か基本的に子供だけの立ち入りは禁止で、先生がついていないとダメだったんだけれど、別に鍵がかかってる訳じゃないからすんなりと入れた。
今思うと、あれだけ中庭を囲むように窓がついていて、昼休みだから校舎内は賑やかだったのに、よく誰にも気づかれなかったと思う。
 目的の池はすぐに目の前にあった。

Mが「先生なしで入るって楽しいな」みたいなことを言ったら、
Aが「先生いたらザリガニなんて釣らせてもらえないだろ」って返したのは覚えている。

 何を思ったのか、俺の隣を歩いていたKがいきなり池に向かって走りだした。
いきなりのことで反応できなかったけれど、すぐにはしゃいでるんだなって思った。
それで、そのKが、池の前で躓いたんだ。
本当に、なんにもないところで。
 足がもつれたのかと思った。
結構勢い良く走っていたし、これは池に飛び込むなって思った。
先生にすごく怒られるな~、とも。
でも、池にKが飛び込む音は鳴らず、水しぶきすら上がらなかった。
 消えた。
ホントに、なんというか、パッと消えた。
動画とかで人が写ってる映像と写ってない映像をつなぎあわせて、人が消えたり現れたりするヤツ。
あんな感じ。
 本当に、なんの前触れもなく消えた。
俺は焦った。
というより、すごくパニックになっていたのを覚えている。
 前を歩いていたAの肩を掴んで、

「 Kは?どこ?どこ行ったの?」

みたいなことを言った。
 おかしなのは、ここからだった。
AとMはパニックになってる俺を不思議そうに見つめてから、顔を見合わせた。
そして、Mが言った。

「 K?誰それ?」

驚いたというか、呆然としたというか、とにかく俺は耳を疑った。
さっきまで一緒にいたヤツのことを、

「 誰?」

って、そりゃねーだろ。
でも、二人は本当に知らない風で、Aなんか苦笑して、

「 え?俺ちゃんの友達?一緒に来るはずだったの?」

とか言ってきた。
 俺はもう訳がわからなくなって、中庭から飛び出した。
そこを先生に捕まった。
俺たちの担任の先生だった。

「 こら!そこに勝手に入るなって言ってるだろ。」
「 先生!Kが!Kがいなくなって!」
「 K?」

不思議そうに先生はつぶやいて中庭に入った。
それから中庭を見回して、

「 またお前ら3人か、本当に色々やらかすな。」

って笑っていた。
気まずそうに目をそらすAとMを尻目に、先生はもう一回中庭を見渡して、

「 で、そのK君って、何組の子?」

って言ってきた。
 この時の俺のパニックっぷりったらなかったみたいだ。
なんか絶叫しながら廊下を走り去ったらしい、覚えてないけど。
俺が次に覚えてるのは保健室で、泣き疲れて落ち込んでるところだった。
 休憩時間にAとMが迎えに来て心配してくれた。

「 大丈夫か?」

って言われた。
 それで、保健室から出た後、俺は妙に頭の中がすっきりしてて、物事を冷静に見ることが出来た。
まず、Kがこの学校にいた痕跡は何もなくなっていた。
ロッカーに名札もないし、ランドセルもない。
クラスの集合写真も、Kがいたはずのところは詰められて撮影されていて、本当にKはいなくなっていた。
記憶にないんじゃなくて、いなくなっていた。
 俺は次に、Kのお母さんに聞いてみることにした。
母さんがK、A、Mのお母さんを集めてお茶飲むって言い出して都合がよかった。
そのお茶会で俺はそれとなく、Kおばさんの前で、

「 ねえお母さん、Kおばちゃんの家に、俺くらいの子っていないの?」

とか言ってみた。
そしたら母さん、

「 何いってんの。
Kさんの子供は、あの子だけよ。」

って言って、Kおばさんの抱いている赤ちゃんを撫でた。
Kおばさん自身も苦笑して、

「 もうちょっと早く欲しかったんだけどね。」

って言った。
 ただ、俺の記憶ではKに弟もしくは妹はいなかったと思う。
その後、K宅とは年賀状程度のやり取りすらやらなくなったので、あの家族がどうなったのかわからない。
弟もしくは妹がいなかったって言ったのは、俺の記憶の限りでは、Kがまだいた時に彼の家に遊びに行った時に、赤ちゃんなんていた記憶がないから。
それで、中庭に転がる見えない骨に躓いたKは、俺の記憶の中だけに生きていることになっている。












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