朝早くからウルサイなあと思いながらも、俺は田中爺の歌をボンヤリ聴いていた。
“ スタスタスタ・・・・。”
田中爺の歌が途切れた。
「 あれ・・・、誰か、来たのかな?」
田中爺と誰かの話し声が通路から聞こえる。
「 爺ちゃん、いつも元気やなァ~。」
「 お、龍平、オハヨウサン。」
「 ちょっと、山本さんと話するわ。」
「 ああ、奥にいるで・・。」
相手は子供のようだ。
直ぐに、扉の影から俺と同じくらいの年の男の子が現れた。
そして、俺の方をチラッと見てから山本爺のベッドに進んだ。
子供はベッドで布団を被ったままの山本爺に話し掛けた。
「 ねえ、ねえ、山本さん!」
山本爺は布団をずらして眼を出した。
「 あ、龍平・・・。」
「 看護婦さんから聞いたんやけど、ベッドはどれや?」
山本爺は右手を布団から少し出し、空いたベッドを指差した。
子供は空いたベッドに向きを変え、ベッドに近付いた。
「 そうか、このベッドか・・・・。」
子供はそう呟くと、ベッドの表面を右手で丸を描くように摩った。
俺は何をしているのか分からず、その動きを眼で追っていた。
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“ スタスタスタ・・・・。”
田中爺の歌が途切れた。
「 あれ・・・、誰か、来たのかな?」
田中爺と誰かの話し声が通路から聞こえる。
「 爺ちゃん、いつも元気やなァ~。」
「 お、龍平、オハヨウサン。」
「 ちょっと、山本さんと話するわ。」
「 ああ、奥にいるで・・。」
相手は子供のようだ。
直ぐに、扉の影から俺と同じくらいの年の男の子が現れた。
そして、俺の方をチラッと見てから山本爺のベッドに進んだ。
子供はベッドで布団を被ったままの山本爺に話し掛けた。
「 ねえ、ねえ、山本さん!」
山本爺は布団をずらして眼を出した。
「 あ、龍平・・・。」
「 看護婦さんから聞いたんやけど、ベッドはどれや?」
山本爺は右手を布団から少し出し、空いたベッドを指差した。
子供は空いたベッドに向きを変え、ベッドに近付いた。
「 そうか、このベッドか・・・・。」
子供はそう呟くと、ベッドの表面を右手で丸を描くように摩った。
俺は何をしているのか分からず、その動きを眼で追っていた。
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