日々の恐怖 8月13日 夜が来たから(8)
隣の人は、窓に寄ってカーテンを開けました。
外をのぞくと、私のとこからは見えない塀の中のお墓が青白く光ってて、たくさんの人がいるように思ったんです。
「 え、あれは?」
「 死んだ人が少し出てきてるの。
夜だから。」
「 ええっ・・・??」
ここで急にすごく怖くなったんです。
ロウソクの光に照らされた顔が、別人のように思えてきて。
「 私、戻ります。」
そう言って、逃げるようにして部屋に戻ってきました。
でも、相変わらず真っ暗で。
すると、携帯が鳴ったんです。
番号は実家から。
おそるおそる出てみると、やはり母でした。
「 お母さん、こっちも停電、これ、どうなってるのよ?!」
「 だから、夜が来たんだって。
もうすぐお父さんがそっちへ着くよ。」
私は携帯を放り出し、部屋の鍵をかけてベッドに逃げ込みました。
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