日々の恐怖 8月12日 夜が来たから(7)
そしたらやっぱり街全体が真っ暗で。
「 そうだ、隣はどうしてるんだろう・・・・?」
はい、私の部屋は端なんですけど、右隣の人はあいさつをして知っていて、私と同じ大学生だったんです。
インターホンを押しましたが、反応ありません。
“ ああ、停電で、これも切れてるんだ・・・。”
と考えて、ドアを、
“ ドンドン!”
とノックしました。
そしたら、ドアが少し開いて、
「 誰・・・?」
という声がしたので、
「 あたし、隣の村田。」
そう言うと、チェーンロックを外す音がしてドアが開きました。
「 あ、すみません、
急に停電になったので、何かわかることないのかと思って・・・・。」
「 入って・・・・。」
中はぼうっとオレンジ色の明かりで、部屋のテレビ台の上にロウソクが立ててあったんです。
「 あ、準備いいですね。
うちは懐中電灯もつかなくて。
どうして停電になってるか、わかりますか?」
「 夜が来たから。」
「 え? どういうことです?」
「 ほら、こっち来てみて。」
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