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日々の恐怖 6月9日 喫茶店(2)

2019-06-09 10:49:52 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月9日 喫茶店(2)




 それは、息子である今の店主にも引き継がれている。
雨の日や薄曇りの日には、その席にじっと腰掛ける若い男性の姿が、うっすら見えることもあるのだという。

「 なんですか、それは・・・・。
常連さんたちに担がれたんでしょう。」

店主はコーヒーを淹れながら、私の話を豪快に笑い飛ばした。
知人から聞いた喫茶店の不思議話を、店主ご自身からも伺おうと、店を訪ねた時のことだ。
 呆気にとられる私にコーヒーを出しながら、店主はまだクスクスと笑っていた。

「 うちの店の由来は、確かにその通りですけどね。
親父は若い頃病弱で、戦争には行かずに済んだんですよ。
だから、約束を果たそうにも戦友はいないんです。」
「 では、あの予約席は・・・?」

 私が視線をやった先は、カウンターの一番奥の席だった。
そこには知人の話の通り予約席と書かれた金色のプレートが置かれ、椅子には上等そうなクッションが乗せられていた。

「 あぁ・・、あれはですね・・・。」








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