日々の恐怖 3月7日 石の家(1)
昔、解体屋でバイトをしていた。
家屋を解体してると、いろんな変わった家もあるし、中から変わったもんも出てくる。
特に、山の方の古民家や古民家はアツい。
押入れの中に骨がギュウギュウに入ってたり、漆喰っていうか塗り物の壁の中に、長い髪の毛が入ってたり、家の真ん中に入口のない部屋があって、そこに小さい鳥居が立ってたり。
結局は、何でもかんでも壊してダンプに乗せて捨てちゃうんだけど。
余りにも気味の悪いもんや縁起モンは酒と塩かけて、まあ結局は捨てる。
そんな中でもある日、某渓谷のとある古くからの豪邸を壊す仕事を持ちかけられた。
そして俺は社長と一緒に運転手として下見に行った。
家の中の残置物とかの確認は、見積もりする社長とその息子が見るから、俺は車外でタバコ吸ってジャンプ読んでた。
すると田舎に珍しい高級車が停まってるせいか、多分近所の婆さんが、
「 何しに来たのっ・・・?」
って、俺に話しかけて来た。
「 俺たちは解体屋で、この家を壊す下見に来たんだよ。」
と答えると、婆さんが、
「 ああ、この石の家を壊すんだねえ。」
って言った。
見た目、普通の木造のでかい古民家だし、
「 なんで石の家なん?
医師の家?
お医者さんが住んでたの?」
と聞いたら、婆さんは、
「 いや、石があるんだよ。」
って言った。
俺は、
「 なにそれ?
壊すと祟られたりしちゃうの?」
って冗談で聞いたら、婆さんは、
「 知らないよ、ただ単に不思議な石があるみたいだよ。」
って笑って答えてくれた。
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