日々の恐怖 12月18日 地蔵神社(6)
男の声だったような・・、凄い年寄りの声とかじゃなかった気がする。
「 んじゃあ、地蔵様が言ったんだろ。」
Mがそう言ったんで、ちょっとびっくりした。
石の地蔵様がしゃべるはずはないだろ。
でも、Mは変だとは感じていないように見えた。
「 カエルでも捕まえてきて団子に入れるか?」
俺はさすがにそれは嫌だったんで、
「 やっぱ、菓子とかにしようぜ。」
それで2人で神社を出て、自転車で駄菓子屋まで行って、安い菓子の袋を買ってきて供えた。
これは俺が金を出したんだが、Mはなんだか面白くなさそうな顔をしていた。
で、その日は網と虫かごを持ってきてたんで、林の中でずっと虫とりをして遊んだ。
その後、Mと別れて家に戻るとき、ちょうど畑から帰ってきた婆ちゃんと家の前で会った。
婆ちゃんは、俺の姿を見るなりちょっと怖い顔になって、
「 お前、どこぞで悪い遊びしてこなんだか?
肩に黒いもんがのっとる。」
って言った。
「 いや、なんも・・・、虫とり・・・。」
俺はそう言って虫かごを見せたら、婆ちゃんは、
「 そうかい・・・。
じゃが、そのまんまではいけん。」
そう言って、俺の襟首をつまんで無理やり家に入れ、仏壇の前に座らせた。
で、1時間近く婆ちゃんといっしょに仏壇を拝ませられた。
いや、もちろん嫌だったし、わけもわからなかったけど、やるしかなかった。
婆ちゃんといってもまだ60歳を過ぎたばかりで、毎日畑仕事をしてるから、子どもの俺よりずっと力が強かった。
それが終わると、
「 変な遊びせんで、宿題やれ!」
そう言われて小遣いをもらった。
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