日々の恐怖 8月19日 古民家(1)
私の父親は2年毎に転勤のある仕事で、両親と姉、弟の5人で、姉が高校受験を迎えるまで引っ越しは続いた。
大抵は県庁所在地のマンション住まいだったが、一度だけ回りが田んぼに囲まれて、柱が黒光りするような古民家に住んだことがある。
この間、愛しの座敷わらしって映画を放送してたけど、まさにあんな感じの家だった。
当時私は小学4年生だったけど、初めて自分だけの部屋を貰ってすごく嬉しかった。
でもそれも束の間で、その家に来てから夜中に両親が喧嘩をしていることが増えた。
うちの両親は割と仲良し夫婦だと思ってたけど、母は東京の生まれの人だったから、
“ ああ、こういう田舎には来たくなかったのかもな・・・・。”
と思っていた。
時々夜中に目が覚めると階下から怒鳴り合いが聞こえて、でも朝になると父も母も普段通りだから、子供の前では喧嘩を見せないようにしてるんだな、と思っていた。
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