大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道166

2008-12-27 19:28:54 | E,霧の狐道
 俺は、一瞬、瞬きをした。

“ ハッ!!”

今度は、はっきり目覚めている。
体も動く。
俺は、病室を一通り見回した。
特に変化は無い。
 病室は、廊下の明かりが扉の窓から漏れている程度で暗い。
これだけの騒ぎにもかかわらず、爺さん二人は熟睡しているようだ。

“ やっぱ、夢かな・・・・。
 あのカエル見たら、爺さんたち大騒ぎだしなァ。
 起こされずに、寝てるもんなァ。
 でも・・・・・。”

俺は、手で顔を擦ってみた。
特にヌルヌルしたものは付いていない。

“ あれっ、ヌルヌルも消えているぞ。
 手も臭いが無いし・・・・。
 ゆ・・め・・か・・な・・・?
 でも、妙に生々しいし・・・・。
 分かんないなァ~。
  明日も、あの婆さんやって来るのかなァ?
 ヤダなぁ~。
 ホント、あの婆さん、参ったなぁ~~。
 また、明日来る、なんて言ってたしなァ・・・。
 眼が真剣だったし・・・・。
  寝るのが切っ掛けとか言ってたけど・・・。
 寝たら来るのかなァ~。
 ヤダなぁ~。
 ホント、明日もやって来るのかな・・・。
 来たら、ホント、ヤダなぁ・・・・。

俺は、壁に向かって口を尖らせて言った。

「 もう、来なくていいぞォ~~~。」

壁からは何の反応も無い。
俺は思った。

“ これはやっぱり悪夢なんだ。
 どう考えても、こんなこと起こるはずが無い。
 カエルに乗った婆さんなんてマンガの世界だ。
 うん、絶対、悪夢だ。
 夢を見ていたんだ。
 寝よう・・・・。”

俺はお揚げ婆さんを悪夢と決め付けて眠ることにした。



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