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日々の恐怖 4月28日 新聞の集金

2022-04-28 19:12:23 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 4月28日 新聞の集金





 集金に行ったその家は、オートロックタイプのワンルームマンションでした。
玄関ホールから呼び出しチャイムを鳴らしました。
 鳴らしてしばらく経って、

「 はい。」

と男の人の声がしました。
寝起きなのか、ひどくテンションの低い声でした。
集金に来たことを告げたら、黙ってオートロックのドアが開きました。
 エレベータで目的の部屋へ行き、玄関のチャイムを押しました。
チャイムの後にちょっと間があって、

” かちゃり。”

と鍵を開く音がして、ドアが少しだけ開きました。
 しかい、いくら待っても人が出てきません。
仕方ないのでドアを引いてみました。
やっぱり玄関には誰もいません。

「 すいませ~ん、○○新聞です~。」

声をかけましたが、反応がありません。
 何度声をかけてもチャイムを鳴らしても、反応がありません。
奥の部屋からはテレビの音が聞こえています。
 人がいるのは分かっているので、

「 あがらせてもらいますよ。」

と言いながら靴を脱いで上がり込みました。
 居間のドアを開けると、やはりテレビがついていました。
けれども、部屋には誰もいません。
念のためトイレ兼シャワーも音を確認してから開けてみましたが、誰もいません。
さすがに気味が悪くなってきたのですが、開き直って押入まで確認しました。
 結局、人がいないのであきらめて帰ることにしました。
無人の家なので、余計なこととは思いましたがテレビは消しました。
鍵はかけられないのでそのままです。
 玄関を出てドアを閉めてエレベータへ向かいかけたのですが、気が変わって引き返しました。
最後の確認のため、ドアを引いてみました。
が、鍵がかかっていました。
ホテルのドアと同じようなものでしょうか。
 誰もいないのは分かっていましたが、ついチャイムを押してみました。

” かちゃり。”

音がして、ドアが開き始めました。
 今度はすかさずドアをつかんで自分で開きました。
しかし、そこには誰もいませんでした。
全身に鳥肌が立ち、猛烈な寒気に襲われ、階段を駆け下りてマンションから飛び出しました。
 帰って、店長に今までの出来事を話しましたが、

「 勝手に家に上がるな!」

と全力で怒られただけでした。
 それから他のバイトがその家に行ってみたようですが、最初から何の応答もなかったそうです。
仕方がないのでその家への新聞の配達は止めて、あとは店長に措置を任せました。
問題の部屋はすぐに空き部屋になったようですが、その後ずっと人が入ることはありませんでした。










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