日々の恐怖 7月10日 左手(4)
異変が起きたのは彼女が亡くなって7日目の夜だった。
ベッドで寝ていたKさんは、激しい息苦しさで目を覚ました。
「 ハッ、ハッ、ハッ・・・・。」
呼吸を整えながら周囲を見るが、おかしな所は何もない。
再び横になって眠りにつくが、また息苦しさで目を覚ます。
まるで誰かに首を絞められているようだった。
たまらなくなったKさんはもう眠るのはやめようと思い、顔を洗おうと洗面所に行き鏡を見てギョッとした。
首に手で絞めた赤い跡がくっきりと残っている。
「 なんだよ、これ・・・・。」
そこで初めて心霊現象が頭を過ったKさんは、部屋に戻ると電気をつけたまま布団をかぶってガタガタと震えた。
が、それでも睡魔がやって来る。
ウトウトするKさんを再び息苦しさが襲う。
布団を跳ね上げたKさんは、そこで初めて自分の首を絞める物の正体を見た。
それは左手だった。
眠りにつくと左手が勝手にKさんの首を絞めに来る。
困り果てたKさんはベットの横にあるラックに紐をかけ、左手を吊った状態で寝た。
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