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日々の恐怖 7月7日 寂れた旅館(4)

2021-07-07 18:58:28 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 7月7日 寂れた旅館(4)




 私は旦那さんと一緒に、本館と別館を繋ぐ渡り廊下に行きました。
本館と別館を分ける仕切りの南京錠を外す前に、旦那さんから、

「 別館は老朽化が進んでいるので、足元に気をつける。
それから、何を見ても驚かないように。」

と念を押されました。
 いよいよ南京錠を外して仕切りを開けたときです。
ものすごく冷たい空気が、私の方に流れて来ました。
別館は何か空気が違いました。
 別館をライトで照らすと、辺りは廃墟同然で、昔使っていたと思われる椅子やテーブルがそこ、ここに転がっていました。
 旦那さんは私に、

「 汚い物を見せて申し訳ない。」

と引きつった笑顔で言いました。
 また、

「 長居はしたくないから速めに行く。
足元に気を付けて・・・。」

とも言いました。
 別館に踏み入れてからは、終始誰かに見られている感じがありました。
私は恐怖感から、何か喋らないといけないと思って旦那さんと何かを喋りましたが、もう何を話していたのかの内容は覚えていません。
 別館の奥にある小さな部屋までやってきました。
部屋の入口には、壊れたドアと陥没した床がありました。

「 ここだ。」

と旦那さんが私に言いました。
 最初に旦那さんが部屋に入り、その後、私も陥没した床を飛び越えて、その部屋に入りました。
部屋に入って、すぐ右に女性の日本人形がかざってありました。
 私は、

” 見られているようで、気持ち悪いな・・・・。
ここには、長くは居たくない。”

と思いました。
 私はすぐさま配電盤の蓋を開け、ブレーカーに測定器を当てようとしたのですが、手がふるえて思うようにできません。
 私は、

「 手間取ってすいません・・・・。」

と旦那さんを見ながら言いました。
その時の旦那さんの顔はこわばり、体はびっしりと汗をかいていました。
旦那さんはポロシャツ一枚で、上半身が透けて見えるほど汗をかいていました。










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