日々の恐怖 1月21日 何かあってもうちは知らないから(3)
それが夜の8時くらいになると、
” ドッスンドッスン、ガタガタグラグラ!”
とひとりでに、派手に動くのだという。
「 百キロ二百キロのもんですよ。
それが勝手にガタガタ音をたてて動くんです。
それも縦揺れ横揺れ斜め揺れ入り乱れて。
みんなの見てる前で。
やかましいわ、そのたんびに本が落ちて散らばるわ。
初めはびっくりしましたけど、しばらくしたら慣れちゃって。
時間になったらコンビニで買ってきた弁当食べながら、
『 そろそろはじまるぞ・・・・・・、ほれ、はじまった。』
ってみんなで見物する様になっちゃいました。
中にはカリカリきて、
『 うるせー!やめろ!』
とか、
『 散らかるだろ!』
とか言って棚が動いてる前で本を拾ったヤツもいましたけど、他には何も起きませんでした。」
また、怪異はこれだけではないらしく、
「 これも決まった時間なんですけどね。」
とM君は続けた。
「 倉庫の裏には細い路地があって、その向こうにはよその家が建ってて、路地と倉庫の間は生け垣になってるんですけどね。
夜中の11時を過ぎると、そこの路地を下駄でカラコロ歩くヤツがいるんです。
ただ歩いて通り過ぎるんじゃなくて、僕たちがいる倉庫のあたりを何度も何度もずーっと行き来し続けるんですよ。」
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