日々の恐怖 5月8日 20歳(4)
Tちゃんのお通夜は、その次の日の夕方でした。
私は熱も下がり、母とお通夜に参列しました。
涙が止まらなかった。
学校でTちゃんの陰口を言っていた子も、先生もみんな泣いていました。
Tちゃんのお母さんは泣きながらも、私を見つけると、そばまで来て、
「 Mちゃん、ありがとう。
Tね、すごく楽しかったって電話で言ってたのよ。
最後に楽しい思い出をくれてありがとうね。」
その次の日、Tちゃんはお骨になってしまいました。
1週間くらいして、またTちゃんのお母さんから電話がありました。
今度はお姉さんが、息を引き取ったと。
母とTちゃんのお姉さんの葬儀に参列しました。
うちの母も、立て続けに娘を二人失ったTちゃんのお母さんを思い、できる限り手伝おうと、葬儀の受付とかを手伝っていました。
その後しばらくたって、Tちゃんのお母さんからまた電話がありました。
離婚をして、実家に帰るため、家を処分するんだとか。
その前にお世話になったうちの母と私に挨拶をしたいと。
家に行くと、玄関やリビングはもうすっかり片付いていました。
お母さんといろいろ話しました。
お姉さんはTちゃんが事故に遭う数日前から入院し、もう長くはないと医者に言われていたんだとか。
Tちゃんのお母さんが、
「 もしかして一人で逝くのが嫌だったHが、Tを先に逝かせたのかしら・・・・。」
と言いました。
ゾッとした。
そういえばあの日、この家で、入院していたはずのお姉さんに会ったのだ。
「 大事な妹だから・・・。」
” 大事な妹だから、連れていったのだろうか・・・。”
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