日々の恐怖 5月12日 20歳(5)
そのときTちゃんのお母さんは、もういらないからと、あの日遊んだ新しいゲームとその他のソフトを貰ってくれないか、と私に言いました。
うちの母も、貰ってあげたら供養になるよ、貰いなさい、と答えたので、言われるがまま貰うことになりました。
家に帰り、ゲームソフトを眺めていました。
四角いプラスチックのカゴに入った8本のゲームソフト。
Tちゃんと遊んだ新しいゲームソフトもありました。
遊んだことのないやつも2つありました。
どんなゲームだろう、と後ろを見たりして開けてみました。
すると4つに折り畳んだ紙が出てきました。
広げてみるとそこにはこんなことが書いてありました。
以下、原文ママ。
『お姉ちゃんばっかりずるい、お母さんはお姉ちゃんばっかり。私はいなくてもいい子なんだね。いなくなっちゃおうかな。
お姉ちゃんのせいで学校でも友達がいない。Mちゃんだけが友達。お姉ちゃんのせい。お姉ちゃんのせい。
お姉ちゃんなんて病気で早く死んじゃえばいい。早く死んじゃえ!バカH!』
その紙の間にもうひとつ、紙が入っていました。
白い紙を人型に切り、顔に名前、身体中に赤いペンで『しねしね・・・・。』。
思わず悲鳴をあげた私にビックリして母が来て、それを見ました。
母の目に涙が溢れて、私にこう言ういました。
「 Tちゃんは、寂しかったんだね。
お母さんは病気のお姉さんにかかりきりで。
あんたはいいことしたんだよ、寂しかったTちゃんと遊んであげて、仲良くしたんだから。」
その手紙はTちゃんのお母さんにはつらいものだろうから、内緒にすることと、母も私もこの手紙を燃やして忘れよう、ということになりました。
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