日々の恐怖 12月20日 エレベーター(2)
その日もいつものように23時頃タイムカードを打ち、事務所を出てエレベーターに向かった。
会社は古いビル(築30年以上)で、改装を実施した時に、エレベーターを大きなサイズに取り換えた直後という事もあり、亡くなった方への賠償は、エレベーター製造会社、工事請負会社が支払い、エレベーターの箱も無償交換されたとの事だった。
事務所を出たところで、通路を曲がって消えた小柄なおばさんを見かけたのだが、最初は清掃の方だと思い、エレベーターで先に一人で降りられては困ると思い、急いで後を追った。
ところが、エレベーター乗り場の前に行くと、誰もいない。
古い建物の為、非常灯もなく窓から差し込む月明かりのみで、薄暗いエレベーター前には自分一人しかいない。
資材が放置してあり人が隠れる事は可能だが、今そんな事をする意味はない。
“ あれ・・・・?
おばさんいたよな・・・?”
不思議に思いながらエレベーターのボタンを押そうとパネルをみると、何故か数分前に自分が5階に来るのに使ったエレベーターが3階にある。
“ 警備員さんが使った?
それよりも、さっきのおばさんは何処いったんだよ・・・?”
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