新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・イタリア 豪華で華麗なベルガモのマッジョーレ教会で見つけた聴聞席の階段

2021-10-09 | 階段紀行・イタリア

 イタリア北部の街ベルガモS・M・マッジョーレ教会は、12世紀ロマネスクの建築だ。尖塔の雄姿を眺めた後、中に入ると、想像をはるかに超える華麗な装飾が目に飛び込んできた。

 白漆喰で整えられた壁面や天井に、きらびやかな金を惜しげもなく使って、豪華絢爛の館に造り上げてしまっている。

 その中にある説教壇は、植物模様の繊細な細工による手すりが階段を囲み、渋い光沢を放つ。

 また、17世紀フランドルから取り寄せたタペストリーはキリスト磔刑図だ。

 また、タペストリーを背景にした告解聴聞席は、他の教会ではお目にかかったことのないほどの見事な彫刻が施されていて、まさに至福の時間を与えてくれた。

 他には大作曲家ドニゼッティの墓もあり、見所満載の教会だった。

 そして、夕刻に見た山麓に出現した夕焼け空の清廉な美しさも、忘れられないベルガモの思い出だ。

 

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階段紀行・イタリア イタリア統一運動の核となったトリノのカフェには、スタイリッシュな階段が存在した

2021-10-05 | 階段紀行・イタリア

 

 アルプス山脈のふもとの都市・トリノはいくつもの国に分かれていたイタリアが現在のような統一国家になった1861年、最初に首都となった歴史ある都市だ。リソルジメントと呼ばれるイタリア統一運動の中心的な地域となり、その実現をもたらした。

 そんな活動家たちが集まり、熱い論議を戦わせた場所の1つが「カフェ。トリノ」。市の中心部サン・カルロ広場にあり、今でもスタイリッシュな内装が施されている。

 中でも目を引くのがこの階段。華やかな装飾に包まれて、周囲で語らう客たちを優しく見下ろすかのように存在している。翻る風を思わせる優しいカーブの様は、ビターなエスプレッソの香りを一層味わい深くさせるものだった。

 トリノの中心は王宮。イタリア統一の宣言が行われた場所。夜、ライトアップされた広場から建物の両側に立ち上がる騎馬像の姿がクローズアップされて美しかった。

 トリノはまた、イタリアにおける無声映画の発祥の地。映画博物館もある。その博物館は、高さ167mの塔モーレ・アントネッリアーナの中に入っている。

 そこには映画のセットの再現や名優たちの写真など様々な映画関係資料が収集されていた。その中の1枚、「カサブランカ」のポスター。ハンフリー・ボガードがイングリッド・バーグマンに発した「君の瞳に乾杯!」は、今でも繰り返される名言だ。(私もかつて借用した記憶がある)

 

 最後に、ちょうど行われていた街並みのイルミネーションをどうぞ。

 

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階段紀行・イタリア ミラノの個人美術館の階段を上ると、ボッティチェリの最も美しい聖母像に会える。

2021-10-02 | 階段紀行・イタリア

 ミラノ中心部にあるポルティ・ペッツォーリ美術館は、19世紀貴族の個人邸宅をそのまま美術館とした建物だ。この入口の階段が優雅だ。大きな螺旋状を描いて上下し、その1段1段に赤いじゅうたんが敷かれている。

 壁面にも彫刻や絵画作品が飾られ、その並びに沿って階段が上下して行く。

 手すりには植物模様がデザインされ、周囲の照明によってシルエットとなって浮かび上がる。

 こんな階段を踏みしめながら展示室に向かう時、一層作品への期待が高まる気がする。

 そして出会ったのが以下のような珠玉の作品たちだ。

 ボッライオーロの代表作「若い貴婦人の肖像」。

 ボッティチェリの「死せるキリストへの哀悼」。

 そして、彼のもう1作「書物の聖母子」。ボッティチェリの聖母はいつも清楚なたたずまいだが、その中でも最も美しい聖母像の1つだろう。

 

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階段紀行・イタリア ローマ編⑤ 日暮れ時サンタンジェロ城の階段を昇ると、夕焼けの絶景が待っている

2021-09-28 | 階段紀行・イタリア

 サンタンジェロ城。サンピエトロ大聖堂の隣りの位置し、要塞、法王の住居などに使われてきたが、現在は国立博物館になっている。

 日本語に直すと「聖天使城」。

ベルニーニによって造られた天使像の並ぶサンタンジェロ橋を渡って城に到達する。その一連の景観は素晴らしい。

 だが、それ以上の絶景は、城の屋上に上った時に味わえる至上の光景だ。

 その光景に接するためには、城内のこの階段をしっかり上って行くことが絶対条件になる。

 夕方屋上に上り前方を眺めると、テベレ川に橋のアーチが映り込む。

 そして、筋雲のように変化する夕焼け空とともに、サンピエトロ大聖堂のライトアップが始まる。

 真っ赤に染め尽くされた空をバックに、聖堂のクーポラは光輝くシルエットとなって中空に屹立する。そんな姿を見ることが出来る幸せが、この城の屋上に存在する。

 

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階段紀行・イタリア ローマ編④ キリストが十字架に架けられた日、最後に踏みしめた階段がローマにあった!

2021-09-25 | 階段紀行・イタリア

 敬虔な信者たちが全員、ひざまずいて上る階段がある。スカラ・サンタ(聖なる階段)。ローマのサンジョヴァンニ・ラテラーノ大聖堂の敷地内、大聖堂すぐ横の建物に存在する。

 この階段は、ローマ総督ピラトによる裁判によってキリストが死刑宣告を受けた時に上った階段とされる。後にコンスタンティーノ皇帝の母ヘレナが、エルサレムのピラト宮殿からローマに移送したものだという。

 従って、キリストが生涯の最期に踏みしめた地上の階段ということになり、最も神聖な場所のため、信者たちは決して足では踏まず、ひざまずいて祈りを捧げながら階段を上がって行く。

 隣に別の階段があり、そこは立って上れるのでそちらで上まで上った。あまりに重々しい雰囲気なので、写真も最小限に留めた。

 では、なぜそんなに貴重な階段がここにあるのだろうか?

 それは、ラテラーノ大聖堂の由来と深い関係がある。この大聖堂はローマ帝国で初めてキリスト教を公認したコンスタンティヌス大帝が314年に建設し法王に寄進した、キリスト教世界では最も歴史的な由緒ある教会だからだ。従ってこの敷地はバチカン市国の領地になっている。

 この大聖堂には法王専用の祭壇も設けられている。上部にはキリスト教の2大聖人である聖ペテロ、聖パウロの像が並ぶが、実はその内部には2人の頭がい骨が収められているという。

 入口で荘厳な像を見つけた。幼子を必死で抱きかかえる聖母子像。磔刑という我が子の悲惨な未来を予感したかのような沈鬱な表情が忘れられない。

 バチカン美術館の回で掲載し忘れた写真を1枚。サンピエトロ大聖堂の正面入口にも大階段があるが、写真を撮り忘れてわずかに映っていたのがこれ。

 今と違って以前は大聖堂向かって左側にある入口から入場していた。そこにはスイス人の衛兵が立っていて、その姿が人気になっていたことを思い出した。

 最後にサンピエトロ大聖堂の全景をどうぞ。

 

 

 

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