敬虔な信者たちが全員、ひざまずいて上る階段がある。スカラ・サンタ(聖なる階段)。ローマのサンジョヴァンニ・ラテラーノ大聖堂の敷地内、大聖堂すぐ横の建物に存在する。
この階段は、ローマ総督ピラトによる裁判によってキリストが死刑宣告を受けた時に上った階段とされる。後にコンスタンティーノ皇帝の母ヘレナが、エルサレムのピラト宮殿からローマに移送したものだという。
従って、キリストが生涯の最期に踏みしめた地上の階段ということになり、最も神聖な場所のため、信者たちは決して足では踏まず、ひざまずいて祈りを捧げながら階段を上がって行く。
隣に別の階段があり、そこは立って上れるのでそちらで上まで上った。あまりに重々しい雰囲気なので、写真も最小限に留めた。
では、なぜそんなに貴重な階段がここにあるのだろうか?
それは、ラテラーノ大聖堂の由来と深い関係がある。この大聖堂はローマ帝国で初めてキリスト教を公認したコンスタンティヌス大帝が314年に建設し法王に寄進した、キリスト教世界では最も歴史的な由緒ある教会だからだ。従ってこの敷地はバチカン市国の領地になっている。
この大聖堂には法王専用の祭壇も設けられている。上部にはキリスト教の2大聖人である聖ペテロ、聖パウロの像が並ぶが、実はその内部には2人の頭がい骨が収められているという。
入口で荘厳な像を見つけた。幼子を必死で抱きかかえる聖母子像。磔刑という我が子の悲惨な未来を予感したかのような沈鬱な表情が忘れられない。
バチカン美術館の回で掲載し忘れた写真を1枚。サンピエトロ大聖堂の正面入口にも大階段があるが、写真を撮り忘れてわずかに映っていたのがこれ。
今と違って以前は大聖堂向かって左側にある入口から入場していた。そこにはスイス人の衛兵が立っていて、その姿が人気になっていたことを思い出した。
最後にサンピエトロ大聖堂の全景をどうぞ。