新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ダリ美術館下 最愛の妻ガラの輝く姿。そして仕掛けと企みのファンタジックワールド

2020-04-14 | スペイン北部

 ダリ美術館を歩いている。ここにはだまし絵や企みに満ちた作品がゴロゴロしている。

これは、ミケランジェロがローマで制作した「モーゼ像」。

しかし、なぜか頭上にはタコが足をくねらせている。

 こちらは明らかにバチカン大聖堂の宝でもあるミケランジェロのピエタ像をモチーフにしている。

 そして、この顔もミケランジェロの彫刻「ダビデ像」そのものだ。ダリがミケランジェロに対して大きなリスペクトの心を持っていた証拠なのだろうか。

 また、ラファエロの「アテネの学堂」をモチーフにした作品もあった。

 この絵は一見すると髭を生やした中年の男性像。だが、よく見ると中央には手紙を読む女性の立ち姿が浮かび上がってくる。しかも、それはフェルメールの「手紙を読む女」を連想させる。

 この祈る姿は明らかにミレーの「晩鐘」そのもの。

 偉大な芸術家の作品をモチーフにしながらも、そこにダリ独得の加工を施して自らの世界に引き寄せている。

 この美術館で最も注目すべき作品があった。「レダアトミク」。ギリシャ神話の「レダと白鳥」。スパルタ王の妻で絶世の美女レダに、全能の神ゼウスが恋してしまった。ゼウスは白鳥に姿を変えてレダに近づき思いを遂げてしまう、というストーリー。

 その美女レダを、ダリは自らの妻ガラの姿で描いてしまった。ガラはダリより10歳も年上の人妻だった。しかしガラに惚れたダリは最終的にはガラを妻とし、死ぬまで永遠の女性(ミューズ)として愛し抜いた。その女神の姿を見事に描き切った作品だ。

 ガラの顔だけの肖像画もあった。

 また、別室には見上げる天井に、足裏から立ち上がる2人の人物の姿が豪快に描かれていた。

 そこここに仕掛けられたダリの多彩な才能にふらふらになりながら会場を後にした。

 

  

コメント (2)
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