新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・ヨーロッパ スペイン編② カサバトリョ下 ガウディの構造物の頂上では、孤独な群衆が無言で夜空を見上げていた

2022-02-26 | 階段紀行・ヨーロッパ 

 カサバトリョの屋上に上ると不思議な風景が広がった。孤独な人々の集団を思わせる構築物が、夕景の中に屹立する。

 まさにドラゴンの背骨、という表現がピッタリの曲線が突き出ている。

 その横では、円柱のタイルが空に向かって伸びる。

 次第に闇が深くなり、構築物は完全にシルエットに変化した。その様は、無言で暮れ行く空を見つめる群衆の姿ともオーバーラップする気がした。

 ライトに照らされた先端は、むき出しの怪獣の歯のようだ。

 夢中で屋上を徘徊しているうちにもう夜も更けてきた。ぼちぼち地上に戻ることにしよう。

 下りの階段。深い地下に導かれて行くような気分になる。

 タイルに包まれた空間を歩いて行くと、かすかに外の照明を感じる場所まで導かれる。

 外に出た。建物の真下から、複雑に屈折したファザードの波動を感じながらさっきまでうろついていた屋上を見上げる。

 最後に、赤くカラーチェンジさせてシャッターを切り、曲線だらけの造形世界と別れを告げた。

 

 

コメント (2)
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