腕を組み 顎に手を当て
それぞれに厳しい表情のまま 何かを思っている
衣をまとい あるいは半裸の姿で
いずれも深い思索の溝に はまり込んでいるかのようだ
スカラ座のあるスカラ広場から 東に延びる小道
人通りの途切れる場所に 不思議な像の建物がある
巨人の像が ずらりと並び
あたかも通行人をにらんでいるかのような 光景が目に飛び込む
「オメノーニの家」と呼ばれている
像は全部で八体 この場所だけは異様な雰囲気で満たされる
建物は16世紀の彫刻家レオーネ・レオーニの住宅だったところ
レオーネは 当時ミラノを統治していた
スペイン王フェリペ2世の 宮廷彫刻家だった
なのでこの像もレオーネ作だと思ったら
実はアントニオ・アボンディオの作品だという
像はどれも 実在した哲学者らしいが
なぜこのように 建物の前面に据えられたのか
今では華やかな ミラノの街の中心部に
どうしてこのような巨人像が 残されているのか
まして 全員なぜ足がないのか
不思議さが 募るばかりの場所だった
なお「オメノーニ」とは 「巨人」という意味だそうだ