今年の復活祭(イースター。イタリア語ではパスクワ)は4月9日。十字架にかけられたキリストの復活を祝う、キリスト教最大級の祝日だ。
復活祭の2日前、聖金曜日にはイタリア各地で「死せるキリストの行進」という行事が行われる。
キリストが逮捕され、十字架にかけられるまでの過程をたどる行列。その催しを見たいと数年前、シチリア島の外れにある街トラーパニに出かけた。その模様を紹介しよう。
シチリアまでの直行便は出ていない。さらにJALはイタリア便さえもだいぶ前からなくなっている。従ってルートは羽田~パリ~ローマ~シチリア(パレルモ)と飛行機を乗り継いで、そこからはバスでトラーパニに向かった。日本出発から23時間という長い旅だった。
トラーパニの位置はシチリア島の北西端にあたり、目の前に海が広がる。「この先は地中海」と思ったら、「いやいや、そっちはティレニア海だよ」と、地元のおばさんが教えてくれた。
実は、トラーパニの長く伸びた岬の先端で向かって右側(北)がティレニア海、左側(南)が地中海になるというのだ。
つまり、この街の先端が、2つの海の境目になっている。これまで海の境目などということを意識したことなどなかったので、ちょっと感激。また、海の向こうに見えるのはアフリカ大陸で、チュニジアも見える。新しい体験になった。
さて、この日は「聖キリストの行進」の前日。明日行われる行列の出発点となる教会を確かめておこうと出かけた。
途中、町の中心であるヴィットリオ・エマヌエーレ通りはきれいに整備されて美しい通りだ。
プルガトリオ教会に着いた。17世紀の教会で、行進はここから始まる。
扉が開いていたので中に入ってみると、高さ4mもある群像神輿(ミステリ)がところ狭しと並んでいた。これは、キリストが邪教を広めているとの容疑で逮捕され、死刑になるまでの過程が20の場面に分けて群像劇に仕立てられており、このミステリが長時間かけて街を練り歩くわけだ。
それぞれのミステリには精巧に作られた人間(人形)が載っており、迫真の表情がうかがわれる。
また、準備を進める地元の人たちもはつらつと作業に取り掛かり、教会内は熱気むんむん。
明日の本番への期待に胸を膨らませながら、万国旗がたなびく通りをホテルに戻った。
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