ローマはバロックの都市といわれる。街のあらゆる場所に絢爛豪華なバロックの建築や彫刻が配され、悠久の歴史を誇る都市を一層輝かしく彩っている。
そのローマを造ったのは誰か?この問いに対する1つの答えが「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのために造られた」という格言だ。
ローマバロックを形成する主要なモニュメント、バチカン大聖堂、ナヴォーナ広場、サンタンジェロ城、そして幾多の教会や美術館に配置された彫刻群。それらの多くに関わった天才が、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニだ。
ベルニーニは1598年ナポリに生まれた。父ビストロ・ベルニーニも彫刻家で、その地を受け継いで幼いころから才能を発揮し出した。
彼を最初に見出したのはバチカンの枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼ。後にボルゲーゼ美術館に収蔵されることになる「プロセルピナの掠奪」などの作品を、シピオーネ卿の庇護のもとで制作、脚光を浴びることになる。
次に、ローマ教皇となったウルバヌス八世によってバチカン大聖堂内装飾を依頼される。さらに次のアレクサンドル七世からはサンピエトロ広場の拡張整備、晩年にはサンタンジェロ橋の天使像制作と、次々にローマのバロック化を推進した。
そんなベルニーニの業績を、ローマを歩きながら今に残る作品を中心にたどってみた。
そうですよね。ローマの芸術における奥深さは圧倒されるものがあります。
そんなローマ芸術の1つの象徴ともいえる、ベルニーニの業績をたどってみようと、この企画を始めました。10回ほどの連載になると思いますが、時間があればまたおいで下さい。