朝、夜明け前にニースの港に出かけた。地中海に昇る朝日を見るためだ。温暖な気候とはいってもさすがに12月の朝は寒さが忍び寄ってくる。
プロムナードザングレと呼ばれる海岸に出て、浜辺に並ぶホテル群の通りを眺める。薄暗さの中でもライトアップされたビル前の道には光明を感じることが出来る。
少し明るくなってきた。雲が流れて大きく空に広がってきている。
明るさを増してきたが、雲は横に延びてしかもかなり厚みを増してきた。
朝焼けの空。が、空間は全面的に赤く厚い雲で覆われてしまった。まるで夏の嵐の前兆のような不気味さを漂わせている。こんなに厚く赤い空は、わが人生の中でも初めての遭遇だ。
そんな雲たちも次第に形を変え、ようやく「普通の夜明け」の風景に戻ってきた。
風が出てきた。固まっていた雲が開放されるかのように飛び広がり、上り龍にも見える奔放さで拡散して行く。
まだ誰もいないコートダジュールの海岸で、自然の雄大な劇を見させてもらったような数十分だった。
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