札幌の澁谷俊彦さんが毎年冬に場所を変えながら展開している「Snow Pallet」シリーズの17回目。
雪が降り積もる北海道の自然環境をたくみに利用しています。
雪それ自体に着色しているのではありません。円盤などに塗布した蛍光色を雪が反射しているのです。
以前は、板の下側に黄色や赤などを着彩して、その下に積もった雪の表面に色がほんのり映る―という作品もありました。
今回設置されているの . . . 本文を読む
鉄の彫刻や立体造形、インスタレーションといった分野で精力的に制作・発表を続けている石狩市の川上りえさんが、2023年夏にモエレ沼公園の園内で行ったプロジェクト。
初日に行ったにもかかわらず、紹介するのを失念していまして、申し訳ございません。
この日は好天で、市民参加のワークショップも行われていました。
モエレ沼公園の公式サイトから引用します。
本プロジェクトは木々の幹に塗布する青色に . . . 本文を読む
(承前)
さて、長々と書いてきた「ROOTS & ARTS しらおい」の記事もこれが最後となります。
胆振管内白老町への旅の記録は、もう少し続きますのでおつきあいくだされば幸いです。
これが「ROOTS & ARTS しらおい」で最後に訪れた場所で、個人的には、ほんとうに良かったと思いました。
これは常設展示作なので、もし「ROOTS & ARTS しらおい」が2024年以降も開かれ、 . . . 本文を読む
(承前)
白老シリーズも終盤。
久しぶりの記事になります。
虎杖浜駅から登別方向へ屋外写真を探しながら歩くこと十数分。
海岸沿いの道路は、アヨロ川を渡ると、上り坂になります。
坂の上の、左手にはホテルが建ち、右手には「ルーツ&アーツしらおい」の会場である「青峯山観音寺」が立っています。
「二重の塔」とでもいいたくなるような、独特の風格ある建築物です。
お堂の中に入ると、右手 . . . 本文を読む
札幌の古民家改造アトリエ「0地点」を拠点とする画家の堀江理人さんの個展。
コンビニエンスストアで夜勤のアルバイトをしていた際に、1日1枚ずつ制作したドローイング184枚(筆者が数えたので、違うかもしれない)が壁に並んでいます。
モチーフはすべて商品で、店頭風景などはありません。おもに菓子やパン、総菜などが横位置の同じ大きさの紙に描かれています。
コンビニ労働を主題にした芸術作品といえば、 . . . 本文を読む
(承前)
作品について、ルーツ&アーツしらおいの公式サイトには以下のような記述がありました。
今回、海を渡ってこの白老の海岸に漂着した巨きな流木を彫り、来年この場所で空に向かって柱をたてる予定だ。死と再生を繰り返す自然の循環の中にあるいのちの巡り、時の流れ、変容するプロセスそのものを制作を通して見つめてみたい。柱を介して天と地が結ばれ、自然と人間、あの世とこの世、過去と未来が交信してゆく。
. . . 本文を読む
(承前)
昨年も「ルーツ&アーツしらおい」に登場した2人組みで、こういう、札幌でもなかなか作品を見られない「全国区の作家」が参加しているから、わざわざ白老まで行くモチベーションになっています。
公式サイトに、作品について説明が載っています。
約30年前、白老の里山をほとんど覆い尽くすような幾つものゴルフ場の計画があった。この計画は自然保護のために反対する人々の粘り強い協働がきっかけとなり . . . 本文を読む
(承前)
白老駅の南側(市街地側)に戻り、まずは、昨年訪れたときには激しい風雨のため公開中止になってしまった梅田哲也作品を見るために、駅から海岸へ向かう道路を歩きます。
片側2車線の広い道路ですが、交通量は多くありません。
会場は、フライヤーには
「THE OLD GREY BREWERY 直営店予定地」
とありますが、それでは地図などを見てもたどり着けません。
白老郵便局の手前にあ . . . 本文を読む
熊本県出身で、米国拠点のハナンみやさんによる、日本では初の展示。
最終日27日の午後7時からアーティストトークがあるという。
米国に移民として渡り、想像を絶する苦労や差別を受けた近代の日本人を主題にしたインスタレーション。
中央には、白い骨片の粉が敷かれて、骨か木の枝をいすの形状に組み立てたものが置かれ、ぐるりの壁面には、海の底に沈んで立っているいすをイメージした写真の大型プリント12枚 . . . 本文を読む
(承前)
昨年の個展の際に筆者は次のように記事を書き出しましたが、基本的な認識は変わっていません。
つけ加えるべき大事なことがあるとすれば、昨年に続く個展であることからもわかるように、精力的な制作のペースだということです。
道内には多くの陶芸家がいますが、用途を離れた立体造形やインスタレーションを主軸に制作・発表する作り手は全体からみるとほんのわずかで、長年取り組み続けている人といえば、 . . . 本文を読む
8日間だけ 目の前にあらわれる そらたかくにある景色
4年前にとある蔵にあらわれた 海中の景色以来の
空間展示を久々に行います。
楽しんでいただけたら幸いです。
札幌で立体造形を手がける jobin.(じょびん)さんが、ものすごい勢いで個展を開いています。
4月に上川管内東川町の「せんとぴゅあ」。
5月には、中央区北5西10にオープンした「misc」。
そして、6月は茶廊法 . . . 本文を読む
(承前)
市立小樽美術館と文学館が入っている建物の1階突き当たりにある「市立小樽美術館市民ギャラリー」は、その名の通り、小樽の絵画サークルや「市展」などが借用して展示を行うスペースであり、ここで展覧会を開いたからといって美術館で展覧会が開催されたということにはならないのが通例であるが、今回は主催が市立小樽美術館であり、チラシに同館のロゴが大きく印刷されているので、いつもとは異なる扱いとみるべき . . . 本文を読む
(承前)
前回の記事から間隔が開いてしまったので、先を急ごう。
前述したとおり「popke 地域活動拠点ポプケ・galleryしらかば通り美術館」では、十勝や札幌、旭川の現代アート作家らによる連続展覧会を開いており、帯広の南隣、中札内村に住む鈴木隆さんの個展が、日程の最後を飾っていた。
鈴木さんはドイツの美術大学で学び、素朴な木彫を出品することが多いが、コンセプチュアルな作品を手がけるこ . . . 本文を読む
昨年亡くなった江別の美術家林田嶺一さんの個展。株式会社中原電気商会と北海道アールブリュットネットワーク協議会の主催。
林田さんはもともと普通の風景画を描いて、全道展会員になっていたが、筆者が全道展を見始めた1996年ごろにはすでに、満洲(戦後の中国東北地方)の思い出をコラージュに仕立てた特異な作風で、会場でも異彩を放っていた。
2001年にキリンアートアワードで優秀賞を得て(最優秀 . . . 本文を読む
ツイッターなどでは話題になっていないが、どこかのギャラリーに置かれていた案内状(冒頭画像のポスターと同じデザイン)が気になって出かけた。
作品はわずか6点。ちなみに、案内状の作品はない。いずれも、朱色と灰色の刺繍ししゅうである。灰色の糸はどうやら髪の毛のように見えるが、題も説明書きもないので正確なところはわからない。
刺繍の跡を目で追うと、作者の行為の痕跡といった感じを強く受ける。日々の営 . . . 本文を読む