20240220
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>春庭文字表記(4)万葉仮名とかな文字&吏読とハングル
春庭アーカイブです。何度でも同じ話をUPしていますので、記憶のよい方は、すっとばしてください。
~~~~~~~~~~~
2009/04/02
ニーハオ春庭ニッポニアニッポン語教室>漢字の国からニーハオマ?(2)万葉仮名とハングル
日本と同じように古代朝鮮や越南(ベトナム)も中国からの漢字文化を受け入れました。古代朝鮮では、吏読(りとう)と呼ばれる表記方法がありました。日本語と同じ文法(ことばのしくみ)がある朝鮮語では、名詞や動詞語幹を漢字で書き表し、付属語を付け加えるやり方で表記されていました。一部の漢字を仮名のように用いる読み方で自国語と中国語の相違を補う方法が考え出されていました。
三国時代(高句麗、百済、新羅の三国が鼎立した時代)から新羅統一時代にかけてまとめられたというこの「吏読」は、日本語の万葉仮名成立の先駆と考えられます。
しかし、日本語の万葉仮名が平仮名に発達したのに対し、朝鮮半島での文字は、15世紀のハングル成立まで、独自の文字は発達しませんでした。
日本の漢文は、初期には半島出身の知識人が吏読を加えた漢文として伝えたものを踏襲し、遣隋使遣唐使の時代になると中国本場の漢文を習得し、全面的に中国語に翻訳する「漢文・化」が可能になりました。『日本書紀』『懐風藻』など、正式な漢文とはやや異なる文体ながら、中国人にも読める漢文で書かれています。
古代日本人が自由に漢文を読み書きできた以上に、古代朝鮮の官吏や貴族達は漢文を読み書きできたと思われます。古代朝鮮は、自国のことばを発音のままに表記することをせず、漢文及びその補助的な手段として付属語吏読によって表記してきたので、古代朝鮮語がどのようなものだったのか、今では再現することができません。現代韓国語朝鮮語の遠い祖語は新羅語だろうということが研究されていますが、その新羅語はどのようなものだったか、一部分しかわかっていません。自国語を発音通りに記録せず、中国語に翻訳された形でしか記録されていないからです。
漢字を発音するとき、日本語は「音読み」「訓読み」の二通りを使い分けました。一方、古代朝鮮語は「音読み」だけを用いたのです。「古代」という語をかんがえてみましょう。日本語は「古」に対して「コ」という音読みの発音と「ふる」という訓読みの発音の両方を用いたので、現代日本語の「ふる」は、古代日本語でも「ふる」と発音したことがわかるのですが、古代朝鮮語では「古」に対して「コ」という音のみをつかったので、新羅語で「古い」に当たる語をどのように発音したのか、わからないのです。
朝鮮語を発音のとおりに表記する方法は、15世紀の世宗大王によるハングル創作を待たねばなりません。古代朝鮮語を復元するためには、わずかに中国文献や日本文献に古代朝鮮語の断片が残されているのを研究していかなければならないのです。
千年前の日本語は文献によって確認できるけれど、千年前の朝鮮語は書き残されていないのです。古代朝鮮語は全部古代中国語に翻訳されて記録されたからです。
ニーハオ春庭ニッポニアニッポン語教室>漢字の国からニーハオマ?(2)万葉仮名とハングル
日本と同じように古代朝鮮や越南(ベトナム)も中国からの漢字文化を受け入れました。古代朝鮮では、吏読(りとう)と呼ばれる表記方法がありました。日本語と同じ文法(ことばのしくみ)がある朝鮮語では、名詞や動詞語幹を漢字で書き表し、付属語を付け加えるやり方で表記されていました。一部の漢字を仮名のように用いる読み方で自国語と中国語の相違を補う方法が考え出されていました。
三国時代(高句麗、百済、新羅の三国が鼎立した時代)から新羅統一時代にかけてまとめられたというこの「吏読」は、日本語の万葉仮名成立の先駆と考えられます。
しかし、日本語の万葉仮名が平仮名に発達したのに対し、朝鮮半島での文字は、15世紀のハングル成立まで、独自の文字は発達しませんでした。
日本の漢文は、初期には半島出身の知識人が吏読を加えた漢文として伝えたものを踏襲し、遣隋使遣唐使の時代になると中国本場の漢文を習得し、全面的に中国語に翻訳する「漢文・化」が可能になりました。『日本書紀』『懐風藻』など、正式な漢文とはやや異なる文体ながら、中国人にも読める漢文で書かれています。
古代日本人が自由に漢文を読み書きできた以上に、古代朝鮮の官吏や貴族達は漢文を読み書きできたと思われます。古代朝鮮は、自国のことばを発音のままに表記することをせず、漢文及びその補助的な手段として付属語吏読によって表記してきたので、古代朝鮮語がどのようなものだったのか、今では再現することができません。現代韓国語朝鮮語の遠い祖語は新羅語だろうということが研究されていますが、その新羅語はどのようなものだったか、一部分しかわかっていません。自国語を発音通りに記録せず、中国語に翻訳された形でしか記録されていないからです。
漢字を発音するとき、日本語は「音読み」「訓読み」の二通りを使い分けました。一方、古代朝鮮語は「音読み」だけを用いたのです。「古代」という語をかんがえてみましょう。日本語は「古」に対して「コ」という音読みの発音と「ふる」という訓読みの発音の両方を用いたので、現代日本語の「ふる」は、古代日本語でも「ふる」と発音したことがわかるのですが、古代朝鮮語では「古」に対して「コ」という音のみをつかったので、新羅語で「古い」に当たる語をどのように発音したのか、わからないのです。
朝鮮語を発音のとおりに表記する方法は、15世紀の世宗大王によるハングル創作を待たねばなりません。古代朝鮮語を復元するためには、わずかに中国文献や日本文献に古代朝鮮語の断片が残されているのを研究していかなければならないのです。
千年前の日本語は文献によって確認できるけれど、千年前の朝鮮語は書き残されていないのです。古代朝鮮語は全部古代中国語に翻訳されて記録されたからです。
<つづく>