20240613
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>数え方の世界(1)ひとつふたつ
数と数え方についての春庭コラム再録です。
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20130603
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>ことばの知恵の輪・数え方の世界(2)ひとつふたつ
世界中にさまざまな数え方があります。
日本語学や日本語教育学を学ぶ日本人学生には各国の数え方を調べて発表してもらいます。
まず、学生に英語で数えさせます。英語では12までがセットになっていることが確認できます。13は「3と10」19は「9と10」という数え方をしています。
そのあと私から、スワヒリ語の数え方を紹介します。ジャンボ!と挨拶してから、「モジャ、ンビリ、タトゥ、ンネ、タノ、シタ、サバ、ナネ、ティサ、クミ。11はクミナモジャ(10と1)クミナンビリ(10と2)という数え方なので、日本の数え方と同じしくみであることを確認します。次に「アイヌ語とフランス語の紹介をします。
母語の他の言語を学ぶと言うことは、自分の属していない文化の考え方を学ぶと言うこと。多様な世界の多様な考えからさまざまな文化があることを意識し、決して日本語の考え方が世界の中で特殊でもへんでもなく、日本語はごく平凡な言語であることを知らせます。ただ日本語の漢字仮名交じり表記は世界のなかで、めずらしい表記方法であることもあとで学生には知らせます。3種類の文字を混ぜて表記するのは、世界では特殊なやり方ですから。
12進法が主流であったラテン語系の言語。英語も12までが特別な言い方で、13からは、規則的で覚えやすい。
フランス語では、1~15までが特別な数え方で、17,18,19は、日本語の「じゅう、しち」「じゅう、はち」「じゅう、く」というのと同じ数え方。20は英語と同じく別の言い方になるのはいいですが、70は「60+10 soixante-dixソワサント ディス」となり、71は「60+11ソワサンテ オンズ」。80は「4×20 quatre-vingts キャトルヴァン 」90は、「4×20+10 quatre-vingt-dix キャトルヴァン ディス」
これじゃ、かけ算九九を唱えるのがたいへんだと日本語母語話者の私は感じてしまいますが、子どもの頃から使っていれば、何不自由ないのでしょうね。不思議。
とりあえず、20までは、フランス語もふつう。
0 zero ゼロ
1 un,une アン、ユヌ
2 due(X) ドゥ
3 trois トロワ
4 quatre キャトル
5 cinq サンク
6 six シス
7 sept セット
8 huit ユイット
9 neuf ヌフ
10 dix ディス
11 onze オンズ
12 douze ドゥーズ
13 treize トレーズ
14 quatorze キャトルズ
15 quinze キャーンズ
16 seize セーズ
17 dix-sept ディセット
18 dix-huit ディズユイット
19 dix-neuf ディズヌフ
20 vingt ヴァン
アイヌ語の数体系も、十進法に慣れた身から見ると、ちょっと不思議。7までは、日本語と同じ進み方。日本語の「個」にあたる「ペ」をつけて数えてみましょう。
1シネプ 1 個
2 トゥプ 2 個
3 レプ 3 個
4 イネプ 4 個
5 アシクネプ 5 個
6 イワンペ 6 個
7 アラワンペ 7 個
8は「トゥペサンペ あと 2 個で 10 個 」と言います。9は「シネペサンペ あと 1 個で 10個」、10は、 ワンペ 10 個。ホッネプ 20 個 。
40になると、フランス語と同じくかけ算が出てきます。40「トゥ・ホッネプ 2 × 20 個」。50は、「50 ワンペ・エレ・ホッネプ あと 10 個 で 3 × 20 個」。
100「 アシクネ・ホッネプ 5 × 20 個 」
世界の多くの文化では、両手の数「10」を基本単位とする数え方が主流ですが、アイヌ語は両手両足の数「20」が基礎単位であることがわかります。「100」が「5×20」でよいのなら、なぜ「50」は「5×10」じゃないのだ、と思いますが、それぞれの文化にそれぞれの数え方。「20」が基礎単位なので、50は、「20×3にあと10個足りない」すなわち、「手足の指が3人分にはあと10個たりない」と表現するのです。
このような数え方の違いを認識させるのは、「日本語学基礎」として、思考方法や言語表現は、それぞれの文化によって独特であり、自分の考え方ややり方がすべてではない、世界には多様なもののとらえ方があり、多様な文化があるのだと知らせるためです。数の表現と色彩表現は、文化によって様々です。
かって、石原慎太郎氏はフランス語の数の数え方を馬鹿にしたことがありました。この発言があったのは、都庁内で開かれた首都大学東京の支援組織の設立総会。祝辞のなかで「フランス語は数を勘定できない言葉だから、国際語として失格しているのも、むべなるかなという気もする。そういうものにしがみついている手合いが結局、反対のための反対をしている」と述べて、フランス語関係者から批判を浴びたのです。
自分のやり方考え方だけが正しくて、他者はダメだと決めつける。こういうのを夜郎自大と言います。
橋下大阪市長が「軍隊に慰安婦は必要だった。他国でも同じコトをしたのに、日本だけが非難を浴びせられることはない」と自分の主張を変えずに、世界中から総スカンをくらいました。6月中旬にアメリカ訪問する予定だったのに、アメリカの要人は、「こんな危険人物と会談したのでは、自分までが愚かな人間と思われてしまう」と、会談拒否が相次ぎ、ついに訪米断念。
石原氏も橋下氏と同意見だそうで、「維新の会」のものの考え方がよく表れた舌禍事件と思います。(橋下氏は発言によって傷ついた人へのおわびはするけれど、主張を変える気はないとのこと)。
夏の選挙シーズンに向けて、今後の票の数え方、さて、どのように数えるのでしょうか。
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ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>ことばの知恵の輪・数え方の世界(2)ひとつふたつ
世界中にさまざまな数え方があります。
日本語学や日本語教育学を学ぶ日本人学生には各国の数え方を調べて発表してもらいます。
まず、学生に英語で数えさせます。英語では12までがセットになっていることが確認できます。13は「3と10」19は「9と10」という数え方をしています。
そのあと私から、スワヒリ語の数え方を紹介します。ジャンボ!と挨拶してから、「モジャ、ンビリ、タトゥ、ンネ、タノ、シタ、サバ、ナネ、ティサ、クミ。11はクミナモジャ(10と1)クミナンビリ(10と2)という数え方なので、日本の数え方と同じしくみであることを確認します。次に「アイヌ語とフランス語の紹介をします。
母語の他の言語を学ぶと言うことは、自分の属していない文化の考え方を学ぶと言うこと。多様な世界の多様な考えからさまざまな文化があることを意識し、決して日本語の考え方が世界の中で特殊でもへんでもなく、日本語はごく平凡な言語であることを知らせます。ただ日本語の漢字仮名交じり表記は世界のなかで、めずらしい表記方法であることもあとで学生には知らせます。3種類の文字を混ぜて表記するのは、世界では特殊なやり方ですから。
12進法が主流であったラテン語系の言語。英語も12までが特別な言い方で、13からは、規則的で覚えやすい。
フランス語では、1~15までが特別な数え方で、17,18,19は、日本語の「じゅう、しち」「じゅう、はち」「じゅう、く」というのと同じ数え方。20は英語と同じく別の言い方になるのはいいですが、70は「60+10 soixante-dixソワサント ディス」となり、71は「60+11ソワサンテ オンズ」。80は「4×20 quatre-vingts キャトルヴァン 」90は、「4×20+10 quatre-vingt-dix キャトルヴァン ディス」
これじゃ、かけ算九九を唱えるのがたいへんだと日本語母語話者の私は感じてしまいますが、子どもの頃から使っていれば、何不自由ないのでしょうね。不思議。
とりあえず、20までは、フランス語もふつう。
0 zero ゼロ
1 un,une アン、ユヌ
2 due(X) ドゥ
3 trois トロワ
4 quatre キャトル
5 cinq サンク
6 six シス
7 sept セット
8 huit ユイット
9 neuf ヌフ
10 dix ディス
11 onze オンズ
12 douze ドゥーズ
13 treize トレーズ
14 quatorze キャトルズ
15 quinze キャーンズ
16 seize セーズ
17 dix-sept ディセット
18 dix-huit ディズユイット
19 dix-neuf ディズヌフ
20 vingt ヴァン
アイヌ語の数体系も、十進法に慣れた身から見ると、ちょっと不思議。7までは、日本語と同じ進み方。日本語の「個」にあたる「ペ」をつけて数えてみましょう。
1シネプ 1 個
2 トゥプ 2 個
3 レプ 3 個
4 イネプ 4 個
5 アシクネプ 5 個
6 イワンペ 6 個
7 アラワンペ 7 個
8は「トゥペサンペ あと 2 個で 10 個 」と言います。9は「シネペサンペ あと 1 個で 10個」、10は、 ワンペ 10 個。ホッネプ 20 個 。
40になると、フランス語と同じくかけ算が出てきます。40「トゥ・ホッネプ 2 × 20 個」。50は、「50 ワンペ・エレ・ホッネプ あと 10 個 で 3 × 20 個」。
100「 アシクネ・ホッネプ 5 × 20 個 」
世界の多くの文化では、両手の数「10」を基本単位とする数え方が主流ですが、アイヌ語は両手両足の数「20」が基礎単位であることがわかります。「100」が「5×20」でよいのなら、なぜ「50」は「5×10」じゃないのだ、と思いますが、それぞれの文化にそれぞれの数え方。「20」が基礎単位なので、50は、「20×3にあと10個足りない」すなわち、「手足の指が3人分にはあと10個たりない」と表現するのです。
このような数え方の違いを認識させるのは、「日本語学基礎」として、思考方法や言語表現は、それぞれの文化によって独特であり、自分の考え方ややり方がすべてではない、世界には多様なもののとらえ方があり、多様な文化があるのだと知らせるためです。数の表現と色彩表現は、文化によって様々です。
かって、石原慎太郎氏はフランス語の数の数え方を馬鹿にしたことがありました。この発言があったのは、都庁内で開かれた首都大学東京の支援組織の設立総会。祝辞のなかで「フランス語は数を勘定できない言葉だから、国際語として失格しているのも、むべなるかなという気もする。そういうものにしがみついている手合いが結局、反対のための反対をしている」と述べて、フランス語関係者から批判を浴びたのです。
自分のやり方考え方だけが正しくて、他者はダメだと決めつける。こういうのを夜郎自大と言います。
橋下大阪市長が「軍隊に慰安婦は必要だった。他国でも同じコトをしたのに、日本だけが非難を浴びせられることはない」と自分の主張を変えずに、世界中から総スカンをくらいました。6月中旬にアメリカ訪問する予定だったのに、アメリカの要人は、「こんな危険人物と会談したのでは、自分までが愚かな人間と思われてしまう」と、会談拒否が相次ぎ、ついに訪米断念。
石原氏も橋下氏と同意見だそうで、「維新の会」のものの考え方がよく表れた舌禍事件と思います。(橋下氏は発言によって傷ついた人へのおわびはするけれど、主張を変える気はないとのこと)。
夏の選挙シーズンに向けて、今後の票の数え方、さて、どのように数えるのでしょうか。
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20240613
子供のころから数字が苦手。数とは70年以上、相性が悪かった。数字が絡むと思考停止になってしまう。
人をちゃんと見ていない夫は、ごく最近になって「母は、数字がわからないんだよ」と新発見のように言ったというので、娘はあきれていました。そんなことは子供の頭でもわかっていた、と。父が今まで気づかないでいたのは、人をちゃんと見ないで、自分の思い込みだけで判断しているからだ、と娘は両親を冷静に観察していました。
この程度の数字は小学生でもわかる、と夫が思い込んでいてそれをすべての人に当てはめようとするから、妻が数字に弱いことに目をくれないでいた。私が仕事をリタイアして、いままで仕事先の計算に任せていた収入支出の計算を夫に頼みました。計算大好きな数字に強いと豪語する夫は張りきって計算し、私に説明しようとしましたが、私に説明しても理解できないことがようやくわかったみたいです。
「投資詐欺なんかに引っかからずに来たことだけでも上出来だ」と、夫も納得したようす。でも、うまい儲け話にのってみたいと、思っているので、気をつけないと。
とにかく数は苦手。夜寝るときも。ひつじが一匹羊が二匹、、、、あれ、これって一匹なの三匹なの?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/5a/02680b097f92ff7cdae40aed32c18ddb.jpg)
トイストーリーのボーピープ羊
<つづく>