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ぽかぽか春庭「名前で回文まさこさま」

2024-12-17 00:00:01 | エッセイ、コラム
20241217
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>日本語音節文字遊び回文(2)名前で回文まさこさま

 春庭コラム2010年の再録です。
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2010/12/07
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教室>ことばあそび(2)名前で回文まさこさま」

 留学生に回文を紹介するときは、「トマト」「しんぶんし」「ミルクとくるみ」などの「初歩」から、せいぜい「竹やぶ焼けた」「ダンスがすんだ」などを紹介するのみですが、日本語学を学ぶ日本人学生のクラスでは「回文自作」を課題にします。

 回文ルール 
1 濁音と清音はどちらに読んでもいい。
2 小さい「ッ」は、「つ」のひらがなにしてもよいし、つまる音(促音)にしてもよい。
3 拗音は直音に読んでもいい。「ちょき」は逆から読んで「きょち」でもいいし、「ちよき」と読んで「きよち」としてもいい。
4 ハ行点呼音で「わいうえお」に読む音は、「はひふへほ」と読んでもよい。たとえば、春庭は、歴史的仮名遣いで、「はるには」だから、逆から読むとき「はにるは」と読んでもいいし、現代仮名遣いで「はにるわ」「わにるは」と読んでも良い。

 日本人学生に紹介する回文の傑作のいくつか。
 平安時代の回文和「むらくさに」
 「むら草に 草の名は もし備はらば なぞしも花の 咲くに咲くらむ」
むらくさにくさのなはもしそなはらばなそしもはなのさくにさくらむ

 江戸時代、正月初夢に吉夢を招く七福神宝船の絵に描き込まれた回文。「長きよの」
 「長き夜の遠の眠り皆目覚め 波乗り船の音の良きかな 」
なかきよのとをのねふりのみなめざめなみのりふねのおとのよきかな

 江戸時代に仙台在住の「仙代庵」が作ったのは、短歌の回文。「みな草の」
 「皆草の名は百と知れ薬なり優れし得は花のさくなみ」  
みなくさのなははくとしれくすりなりすくれしとくははなのさくなみ

 作者不詳のまま「江戸時代の回文」の傑作として有名なのが「時は秋」の回文。単に仮名を逆から読めるというだけでなく、秋の光景を描いた優れた詞文になっています。
 「時は秋 この日に陽 尋ねみん 紅葉錦の葉が 龍田川の岸にふえ 鬱金 峰 伝ひに  陽の濃き淡きと」
ときはあき このひに ひ たづねみん こうえふ にしきの はが たつたかはの きしにふえ うこんみねづたひに ひのこきあはきと  

 初歩課題は「名前」
 知っている名前、また自分の名前を回文にしてみます。
 自分の名前を逆さまに読み、句を付け加えると、回文句、回文川柳ができあがります。
 意味のつながりが強引なこじつけになることもありますし、ちょっと字余り、字足らずになる句が多いのは、ご勘弁願います。

 一番早くできる人、小池恵子さん。「こいけけいこ」最初から名前が回文です。右から読んでも左から読んでも「こいけけいこ」
 やんごとなききわでは、「まさこさま」左右どちらから読んでも「まさこさま」
  息子の保育園クラスメートに「越智幸雄おちさちお」君がいました。両親は、回文になるように名前を付けたのだそうです。

 手始めに歴史上の人物で。春庭創作回文を紹介します。
 第一弾は、平安女流文学編
 紫式部は真剣に源氏物語を書き、付記の指揮もして去っていきました。
「紫式部 真剣源氏 付記指揮 去らむ  むらさきしきふしんけんけんしふきしきさらむ」 

  ライバルの清少納言や伊勢も負けじと単語探して和歌を作っています。
「清少納言 単語綯う 良し伊勢  せいしようなこんたんこなうよしいせ」
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20241217
 2010年に紫式部や清少納言の名で回文遊びしたこと忘れていました。たまには過去ログを引っ張り出してみるもんです。

 今年は、紫式部と清少納言は大河ドラマで話題になりましたが、今年一番人々がほしいと思ったのはこの名前「渋沢栄一しぶさわえいいち」
 回文、いかがでしょうか。逆音節は「ちいいえわさぶし」 渋沢のふるさとの方言では、寒いがさぶいになります。私の懐もさぶい。「渋沢さん、お金貸して」とたのんだら、断られました。ちっ!さぶい。
「ち!いいえ、わ! さぶし しぶさわ えいい ち」 
 おそまつ。
 渋沢栄一は明治の大物として、明治天皇初乗車の新橋横浜間の蒸気機関車にも乗っています。渋沢が乗ったのは、六車目。肩書は大蔵省三等出仕。のちの子爵も明治初めには三等出仕でした。三等でもいいから、お金貸して!

   
 
<つづく>
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