KUMIの句日記

写真と一日一句で綴るブログ。句の転載を禁じます。

追憶・向島百花園

2023年03月29日 | 俳句
天気 曇一時晴

一昨日の向島百花園のスカイツリーと同じ方角の写真。
今日の昼過ぎ、高校野球を見ようとテレビを付けたら、東京都の広報番組の時間だった。そこで、たまたま向島百花園のこれと同じ風景が映っていた。池の手前の奥がスカイツリーのいちばん良く見える位置。(一昨日の写真)テレビは数日前に撮ったのか、土橋のそばのオオシマザクラはこの写真ほどには咲いていなかった。奥の桜はソメイヨシノ、手前がオオシマザクラ。
ちなみに、大島桜は伊豆大島(東京都)が原産地で、花より先に出る葉っぱは塩漬けにして桜餅に使われる。墨堤そばの長命寺の桜餅は今も東京名物。

百花園は懐かしい・・隔月ながら、長く続いた句会で欠かさず参加していた。最初は主宰のごく個人的な句会に、一年間参加させていただいたのがきっかけで始まった吟行句会だった。
今頃の花を少し撮っていた。白花蒲公英・芽柳・花キブシ。




最後の参加は、夫が亡くなった月のこと。まだ納骨も済んでいないのに句会?ということになるが、納骨を待つだけの日曜日、誰も来ないようだし、何もすることがないし、夫のお骨と家に籠るのがもったいないような小春日和。で、止める人が居る訳でもない独り暮らしだ。いいなあ、独居というのはこういう風に自由に行動出来る・・などと感心し、久しぶりに句会の準備をしていそいそと出かけたことを思い出す。

その日の句の一つ(半日で吟行句10句投句)

愚かなる者へ躑躅の返り花  KUMI

後日、この句は結社誌へ投句して主宰の選に入り、掲載された。
自句自解はしない主義なのだが、「愚か者」は、夫の納骨前に句会へ、という自分への自戒のつもりだった。

この句会参加が、百花園の最後となった。 明けて1月には私の体調が悪くなり、片道1時間半はかかる百花園へはもう無理・・と思っていたらコロナ禍。どこの句会にも行けない日々となり・・秋に私はホーム入所、私の暮らしも変わり、体調も下り坂になっていき・・
あの百花園で、久々に会った古くからの句友Aさん。昨年、突然の訃報が飛び込んできてびっくりした。年齢は私より2歳若く、ご主人を亡くされて寡婦になって間もなかった。そしてご自分も手術をされて・・でも元気だった、私よりは。寡婦暮らしの先輩として色々と話を聞き始めたばかりだったのに。あれきり会えないまま別れたので、百花園の土橋の近くで久々に再会した時の映像が鮮明に思い出される。
「吟行しないと句の作れない私たちって、年とって動けなくなったらどうなるのかしらね」ということを、泊りがけの句会の往き帰りの電車などでよく語りあったものだ。
彼女は先に逝ってしまい、吟行せずに句を作る日々をあまり経験せずに済んだようなもの。私は、非常に困っています。でも、かの世で主宰に会えて、羨ましいこと。
向島百花園には、主宰と彼女の思い出が眠っているような・・

芽柳をくぐれば土橋すぐそこに  KUMI
コメント (6)
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