フランスに関心のある人なら誰でも、1789年7月14日がフランス革命の象徴ともいうべきバスティーユ監獄襲撃の日であることを知っている。当時バスティーユ監獄にはわずか7人が収容されていた(それも政治的な理由ではない)のみであり、襲撃の目的はそこの武器庫からの武器の略奪にあったわけで、政治犯を多数解放した、と言うものではないが、その後の世界に与えた影響を考えれば、この日がいかに重要な意味を持つかは明らかだ。そして、7月14日はフランスにとっては最も重要な国民的記念日。コロナ下の今年のこの日をフランスがどのように迎えるのかは承知していないが、通常なら午前中にはパリで軍事パレードが開催され、フランス大統領の出席のもとフランス軍がシャンゼリゼからコンコルド広場まで行進する。また、その後の花火は圧巻だ。
バスティーユ襲撃からさほど経っていない1789年8月26日に憲法制定国民議会で採択された人間と市民の権利の宣言(フランス人権宣言)は、人間の自由と平等、人民主権、言論の自由。三権分立、所有権の保護など17条からなるフランス革命の基本原則を記したもの。この宣言に盛り込まれた人権保障の普遍性は言うまでもないが、最近のアメリカ大統領の言動や中国共産党独裁政権の動きを見ていると、この理念が今や危殆に瀕していると感じざるを得ない。
この絵は、クロード・モネの描いた「モントルグイユ通り 1878年6月30日の祭日」。この日は公式決定により共和国を讃える祝祭が開かれた日で、翌年7月14日、改めて準公式に祝祭が開かれた。通りを埋め尽くす三色旗が印象的。