回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

フェルメール

2020年07月20日 14時45分38秒 | 日記

英国王室が美術品の世界において最も有力な収集家のひとりであることは良く知られているところである。この英王室の所有する美術品を管理し、また、王宮におけるこれらの美術品の公開についての運営を行っているのがRoyal Collection Trust。

従ってエリザベス女王の執務する公的な宮殿がロンドンにあるバッキンガム宮殿(私的、と言う意味ではウインザー城)で、ここに所蔵されている美術品を公開するのも、このRoyal Collection Trustの業務である。バッキンガム宮殿は女王の公務に支障のない範囲で一般に公開されており、併せて王室の所蔵する膨大かつ貴重な美術品も見ることが出来る。自分も日本から来た知り合いを案内して一度だけ、バッキンガム宮殿の中に入った(入場料を支払って観光客として)ことがある。

イギリスの他の美術館や公共施設と同様、閉鎖されていたバッキンガム宮殿でのコレクションであるが、Royal Collection TrustのHPによれば、7月23日から一般への公開が再開されることになった、とある。もちろん、見物客のコロナウイルス感染防止のため事前に入場券を購入する必要があり、また、一日に入場者数も制限され、ソーシャルデスタンシングが確保されるようになっている。

バッキンガム宮殿にはファン・ダイク、ルーベンス、レンブラント等の著名な絵が展示されているが、それらとならんで貴重な作品のひとつに、フェルメールの「音楽の稽古(A Lady at the Virginal with a Gentleman)」がある。確認されているフェルメールの作品はわずかに34作品のみであり、その一つがここにある。

困窮の中で43歳で死んだフェルメールと言えば今ではもっとも有名なオランダの画家の一人。とくに、ウルトラマリンブルーと言う青色を使った「真珠の耳飾りの少女」はあまりにも有名だ。このモデルが誰なのか、フェルメールの長女とする説や彼に恋する召使(映画化されたトレイシー・シュヴァリエの小説のように)なのか、という謎めいていることも。

そういえば、バッキンガム宮殿に保管されている「音楽の稽古(A Lady at the Virginal with a Gentleman)」も謎めいた作品だ。この絵の銘文には、'Music is a companion in pleasure and a balm in sorrow(音楽は喜びの伴侶であり、悲しみの芳香である)とあり、描かれている二人の関係を暗示しているのだろう。しかし、この二人の関係がどの段階にあるのかをはっきりと言うことは不可能だ。描かれたハープシコードとチェロの二つの楽器が、喜びの共有と目には見えない調和を意味しているのだろうか。そして、少女を見つめる男性の視線の奥にあるものは・・・

「音楽の稽古(A Lady at the Virginal with a Gentleman)」

バッキンガム宮殿のガイド本

 
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