回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

椿姫

2020年10月10日 18時33分17秒 | 日記

今朝のNHKニュースでブロードウエイの劇場が来年5月末まで休演、と報じられていた。

ミュージカルのないニューヨークと言うのは一寸考えられない、と言ったがもう一つのニューヨークの顔といえば、ブロードウエイ64丁目のリンカーンセンター、メトロポリタンオペラがあ。こちらもコロナウイルスのために今年のシーズンはすべて休演、来年9月に再開を予定している。演劇の好きな人にとっては寂しい時期が続くことになる。

メトロポリタンオペラにはニューヨーク駐在中に何度かオペラを見に行った。誰でも知っているものばかりだが、記憶に残っているのはベルディ作曲の椿姫(La Traviata)。2001年と2003年の2回、ほぼ同じ席で観ている。この間に10ドル値上がりしているのはアメリカの物価上昇を反映しているのか。手元にチケットの半券があるが2003年のほうは、手荒に扱われたのか、右下がすこし破損している。

アレクサンドル・デュマ・フィス原作の椿姫(原題 La Dame aux camélias)を岩波文庫で読んだのは学生時代だったからこの間ずいぶん時間が空いているが、原作も、またオペラもやはり素晴らしいと思う。なお、原作が椿の花の貴婦人、と言うのに対して、オペラでは道を踏み外した女、と言うのは少し困惑する。しかし、どちらもこの悲恋を言い当てているのだろう。ただ、原作者デュマ・フィスは、寂しく死んでゆく主人公マルグリットに惜しみない同情の涙を注ぐ、というのだから、自分としてはやはりLa Dame aux caméliasのほうが胸に響く。

メトロポリタンオペラは当時住んでいたところから散歩にちょうどいい距離にあった。当時は治安も良くてオペラが終わった後、風に吹かれながら歩いて帰ったのを懐かしく思い出す。

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