NHKFMで、恒例のニューイヤーコンサートを聴いた。
コロナ禍での無観客での今回は、別の意味では昨今のすこしバブルっぽかったこの演奏会の垢を流し邪心を捨てて音楽に向かい合う本来の演奏会に回帰させたのかも知れない。
結論を言えば素晴らしいコンサートだった。リッカルド・ムーテイ、そのもう熟練としか言いようのない、そしてイタリア人らしい指揮も良かった。ウイーンフィルの演奏技術の確かさ安定感柔らかさ。今回はウイーンフィルの良さが余すところなく出ていたと思う。
意表を突くように突然始まるシュトラウスのワルツ「春の声」、ブラチスラバから見たウイーンの森(ヴィエンナヴァルト)の緑滴る風景が思い出された。トルコ軍に蹂躙されながらも耐えたウイーン。ウイーンこそが体を張ってヨーロッパをイスラムから守り切ったのかも。
定番の皇帝円舞曲、美しく青きドナウ、そして最後はやはり、あの行進曲。聴衆の手拍子のないラデツキー行進曲も本来の姿を取り戻したようで新鮮だった。