机の上に置いてあるケルビム(智天使)をかたどったインク壺。ロンドンのアンティークショップで買った物。実際にはインク壺などは使わないので単なるかざり。本来は手紙を立てかけるものと言うことだが、読みかけの本を置いても良いらしい。手前のくびれたところはペン置き。多分、1900年ころの真鍮製。
ケルビムとは天使9階級の第2位で知識に秀でる、翼のある美しい子どもの姿や頭で表すという。机の上に置いておくことで見る人(がいれば)に、自分の知性をさりげなく表わすこともできる、というビクトリア朝のスノビズムの象徴のような小物。
余り考えもせずに買ったのだが、調べてみると、ロココ風というのもあればバロック風、あるいはビクトリア朝風など諸説あり。様々な様式が影響を与えているのだろうか。材質の真鍮は、磨けば銅のような輝きを持つが、錆びてくすんで古びた感じも味がある。
このインク壺のインクで手紙を書けばきっと相手の胸を打つ文章が紡ぎだされてくるに違いない。しかしインクがないので、さしあたりこれを眺めながらメールでも書いてみよう。誰に?