昨日の、ワシントン、連邦議会議事堂へのトランプの扇動による暴徒乱入事件。発展途上国ならともかく、21世紀のアメリカであのようなことが起きるとは、いかにトランプが狂気じみていたにせよ予想していた向きは少なかったのではないか。かろうじてペンス副大統領が正気を保ったおかげで何とか次期大統領選挙の投票確定が出来たが。たったの7日で、2021年の世界10大ニュースのひとつは確定したようだ。そして、これはこれから幾世代にも亘って語り継がれるのではないか。アメリカ本土における政治的テロ事件としては2001年の同時多発テロにも比肩するように思う。
ニューヨークからワシントへは無理をすれば車で日帰りの出来る距離である(ほとんどをインターステートという高速道路上で過ごすことになるが)。片道400キロメートルくらいだろうからニューヨークにいると一泊してまで行く距離ではない。ニューヨーク駐在中、たまたまよく知っている同期の男がワシントンに駐在していたので、何かあれば彼に頼むことにして、幸か不幸か仕事でそこまで出掛ける機会はなかった。
ただ一度、日本から来た知人をつれて(その人の時間が限られていたので)ワシントンまで車での日帰り旅行を敢行したことがある。この旅行は途中、フィラデルフィアに立ち寄った以外はひたすらワシントンに向けて走り、ワシントンでは普通の観光客と同じく連邦議会議事堂やホワイトハウス、スミソニアン博物館、ワシントンモニュメントと言った名所を駆け足で回って、その日の深夜ニューヨークに戻るという慌ただしいものだった。
この日帰り旅行で一番記憶に残ったのは、ワシントンではなく、フィラデルフィアで実際に見た自由の鐘。この鐘はアメリカ歴史において大きな意味を持つのみならず、国際的な自由の偶像、ともいえるものだ。昨日から繰り返し流される、まるでカルト集団の暴徒によるような連邦議会議事堂への乱入の場面を見ていると、この、なぜか破損(ひび割れ)に何度も見舞われた自由の鐘の姿とが重なり、複雑な気持ちになる。結局トランプの4年間でアメリカはひび割れてしまったのか・・・
2004年の正月にフィラデルフィアで撮ったひび割れている自由の鐘。