昨夜、ロンドン在住のイギリス人の友人と話をした。コロナ感染者の急増により、イギリスの医療体制は崩壊の瀬戸際にあると。一昨日(13日)の新規感染者は48,682人、累計では326万人を超え、死者もそれぞれ1,248人、累計で86,015人。絶対数で感染者数は、日本の10倍、死者数では20倍になっている。
現在450万人の国民が健康保険(NHS)での治療待ちであり、うち20万人が1年以上待っている状態。一年以上の待ちは、昨年の同時期ではわずか1,163人だったことを考えれば如何にコロナの影響が大きいかわかる。さらにコロナ患者のためにICUがふさがり多くのがん患者の手術が遅れたり取りやめになっている。がん癌患者の手術の待ち時間は国民保険では通常で62日間が目標であるにもかかわらず。医療体制が崩壊の危機にあることから、最近になってTV 等でコロナ患者が適切な治療を受けられずに斃れてゆくような医療現場の悲惨な状況が報道され始めたが、もっと早い時期に国民にこの状況が伝わっていれば危機感が高まったのでは、とは友人の意見。
それにもかかわらず、友人によればロンドンの都心を行きかう人の大部分はマスクを着用していないという。もちろん、商店などに入店する時には持参しているマスクを着用しているが、どう考えてもマスク着用に対する意識は低い(ちなみに今はレストランは全面閉鎖、テイクアウトのみが可能)ようだ。それにはジョンソン首相や政府高官などがTVや公衆の面前に現れる際にマスクを着用していないことも影響している。街を歩く人のほとんどが清潔なマスクを常時着用している日本とは全然違う、とその友人は嘆いていた。
ただワクチン接種は既に相当進んでおり、この後ペースが上がってくれば、3月ころまでには相当数のイギリス人が一回目の接種をうけることになりそうで、今やそれが唯一の希望となっている。都市封鎖によって外出もままならず、日常生活は厳しく制限されていて国民の鬱憤も相当高まっているようだ。
翻って、イギリスに比べると感染者数、死者数、重症者数いずれをとっても人口比では20分の一、40分の一程度の日本で、医師会などが既に医療崩壊だと声高に叫んでいるのはどうしたことだろう。日頃傲岸不遜な医師会(もちろんそうでない医師がたくさんいることは承知している)が、今回は悲壮感を漂わせて責任逃れのように危機感をあおるのにはなんとも奇妙。そして自分はそんなに脆弱な医療体制の国に住んでいるのだろうか、この程度の感染で医療崩壊になる国に住んでいるのか、と暗澹たる気持ちになる。やはりとにかく自分の命は自分で守るしかない・・・
多分この国の人の意識が高いせいだろう、感染が今の水準に収まっていることをつくづく幸運だと思わなければならない。
ドレスデンの飾り皿。マスクもせずにこんな薄着で外出できる時代は戻ってくる?