回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

賞味期限

2021年01月05日 16時39分09秒 | 日記

日本人は賞味期限に特に敏感だと言われる。その証拠に、賞味期限が近付くと店の方は何としても売り切ろうと大幅に値下げしているようだ。世界的に食品ロスが話題になるたびにそう言った性格が問題視され、少しでも期限切れによる食品廃棄を少なくするために賞味期限の表示方法を変えたり、あるいは素早くチャリティー機関に提供するなどの試みが行われている。確かに、地球上の一部(相当部?)では食糧不足・栄養不足がいわれているのだから、賞味期限が近付いたからと言って(味が大きく落ちるのならともかくそうでなければ)捨てたりするのは大きな問題だ。そうはいっても簡単に日本人の性向は変えられないだろう。頭の痛いところである。

今から40年ほど前にイギリスに赴任した時、今ほどの輸送技術は無かったし、また駐在員の数も遥かに少なかったから現地で手に入る日本食(身近なものでは例えば豆腐や蒲鉾と言ったもの)はカチカチに冷凍されて運ばれてきていたものがあった。そのため、紀文や小田原の鈴廣という本来それなりの食品なはずなのに、味も香りもほとんどない、まるでスポンジでもかじっているような食感だった。それでも、日本食というだけでたまには小さな日本人向けのスーパーで買ったりしたものだ。

そういった食品は日本から遥々運ばれてきているのだろう、どこかに賞味期限が印刷されていたはずなのだが丁度そこに英語の説明書きや値段表が貼り付けてあって、見えないようになっていた。ひょっとすると(多分!)賞味期限は過ぎていたかもしれない。自己責任で、ということになったのだが、不思議なことにそれでお腹を壊したということはない。何度か海外に駐在したりしばらくそこに滞在したりした結果、買う場所を選びさえすれば賞味期限が多少過ぎていても大丈夫という思いが強くなっていった。

しかし、日本ではそんなことを言ったら変な人だ、あるいは何か衛生観念(安全意識)に乏しいのではないかと思われるような気がしてくる。価値観というか常識というのは住んでいるところ、環境によって変わってしまうものなのかもしれない。スーパーなどでは賞味期限が近付くと早く売り切ってしまおうと、値段を下げているが、それについて知り合いの滞日年数の長い某外国駐在員は(彼女は普段極めて味にうるさい人だ)そういった食品でまったく問題ないと。わざわざ一日違いで高い食品を買うのは無駄でおかしいさえ言っている。どちらとも正しいように思うが・・・

ところで、もともと賞味期限のようなものがないものがある。例えば酒類、ウイスキーなどだ。一時期頻繁にロンドンに行くことがあった。その時帰りの飛行機の中で、しばしばスコッチウイスキーを買っていた。陶器の瓶に入ったそのウイスキーは見た目もなかなか良く、またいくつかの色のバリエーションがあり、それに空港の免税店よりも機内販売の方が安い(さらに荷物にもならない)こともあっていつか誰かへの贈り物にでも、と思って何本か買った。

しかし、自分ではもともとウイスキーを頻繁に飲むほうではないし、いったん封を切ったら中身に影響があるのではと思って箱のまま戸棚の中で眠ることになったものもある。年末掃除の一環で戸棚の埃りを払っていたら、そんな風にして40年前に買った一本のウイスキーが出てきた。

このウイスキーは21年物、というから今では60年は経っていることになる。こういうものは賞味期限はないので、逆に、一段と熟成した、超長期熟成のレアなビンテージウイスキーになっているのだろうか?骨董品として価値が上がっているかも(そんなことはあり得ないか)。しかし、今となっては飲むのは少し躊躇する。

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする